カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

切ない一時期の青春(少女)物語   リズと青い鳥

2019-11-29 | 映画

リズと青い鳥/山田尚子監督

 いわゆる京アニ作品らしい。「響け!ユーフォニアム」という作品があるのだが、その中の一部の部員のスピンオフ作品なのだという。
 吹奏楽部の女性とふたりの友情のような関係を描くことと、この時期の微妙な感情を、音楽と、そしてその曲の題材となった童話の物語と絡めて表現されている。ものすごく間延びした部分と、繊細なタッチの画風が絡んで、感情表現を細かく描いている。高校三年という限られた青春の時間と、音楽的なつながりをきっかけに仲が良くなったのに、その音楽のために嫉妬の感情が二人の間に齟齬をきたしていく。先生以外男がぜんぜん出てこないので、この時期の一種の同性愛のようなものが含まれているのかもしれない(僕にはよくわからないが)。
 最初はセリフも説明も少なくまどろっこしい展開だと感じるが、そういうところも細かさの一つの演出になっていて、この年頃の感情をうまく描き出しているようだ。まだ子供なので、わがままで自分本位すぎるきらいがあるけれど、まあ、そういう時期を経て大人になっていくということなんだろう。いわゆる不良っぽい人は出てこないし、大人の存在もほとんど感じられない。社会とのつながりもほぼ分からない限られた世界があって、しかし高校三年生は悩んでいるのである。失われていく切なさが、さらにこの時期の輝きを支えているのかもしれない。
 女性性が前面に出ているということかもしれないが、実を言うと男である僕にもこれは分からないではない世界観である。というか、こういう感情は共通なのではないか。確かにおとなしいしまどろっこしいが、そういう上手く表に出せない年頃であるのは、同じなのであろう。もう忘れてしまったけれど…。
 いい作品すぎて盛り上がりに欠けるが、しかしこういう作品がアニメで出されているというのは、日本の底力かもしれない。
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