今巷間では、ギターロック復活というトピックで盛り上がっている。なんのこっちゃ、という感じもしないではないが、本当にそういうことなんだろうか。
ラッパーだったマシンガン・ケリーは、ギターを持ってパンクロックのようなことをやっている。ライブに来たファンが、ギターを弾くロックというのは初めて見たというんだよ、と語っていた。どういうことかというと、今はヒップポップとかばっかりで、ギターロックを聴くことも見る機会も何年もの間なかったからだろうという。ほんとにそんなものなのかな。
僕はヒップポップは聴かないし(まあ、普通の同世代日本人よりは聴いているかもしれないが)、ヒットチャートにも興味がないから、本当の今の流行りというものは知らないのかもしれないが、いわゆる今でも聞いているロックのほとんどは、昔から今までほとんどギター・ロックばかりである。だから世の中がそんなことになっているなんて印象は露ほども感じていなかった。今だってラジオでかかっているのはウィーザーだったり、レッチリだったりするし、最近はブラック・キイズがまた何か出したな、という感じだし、それらはちゃんとヒットしているはずなので、ギターロックを聴いてない人々の存在の方が稀有な印象を持つんだが……。しかしまあピンク・フロイドが新譜を出したりして(これはウクライナ戦争があったからだけど)、世の中信じられないようなことが起こり得るんだな、ということは感じている。
でもまあオリビア・ロドリゴが長い間ヒットチャートに残っていて、ちょっと昔っぽいポップ・ソングが流行るものなんだな、とは感じていた。でもこれは今時の多様性ともおそらく関係があって、父親がアジアンのようだし、ビーバドゥビーもサラミもそうなんだという。ミツキは日系が混ざってるようだし、スーパーオーガニズムはボーカルが日本人だし、最近は星野源もかかわっている。ジャパニーズ・ブレイクファーストは名前からして日系かと思ったら韓国だそうだ。そういう感じじゃないと流行らないということはないかもしれないが、いわゆる多様性が具現化した現象であって、人々が素直に偏見などを感じることなく受け入れられるようになった、ということは言えそうだ。
ギターロックとは関係ない話にはなったが、時代が回転して先祖返りするようなことはあるようで、そういうものが若い人には新しく聞こえるのだということであれば、そういうものですか、とちょっとだけ驚いて見せても良い。というか、それなら一緒に聞きましょうよ、という気分になってもいいかもしれない。