カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

初めてお使いに行ったのは、いつ?

2022-05-01 | culture

 日本のリアリティ長寿番組の「はじめてのおつかい」がネットフリックスで公開されたことによって、日本以外の国でちょっとした衝撃が走っているのだという。言うまでもなくこの番組は、幼い子供が一人で初めてお使いに出るというミッションをいかに達成するのか、というのをほのぼのと眺めるバラエティだ。実際にはカメラマンなどのスタッフが見守りをしていて、最低限の安全確保はやっているという感じだが、何しろほとんどが5歳前後の未就学児である。場合によっては車や自転車が行き交う道を歩いていかなければならないし、リアリティ番組だから子供一人(時にはきょうだい)で判断を誤って危険な状態にならないという保証はない。
 いうまでもなく、この番組がアメリカで実施されたならば、親は児童保護の観点から調査を受けることになり、子供は一時的にも保護施設や里親に預けられることになるという。要するに、日本のように子供の安全に無頓着で社会が子供を守るという常識が通じてないところでなければ、そもそも成り立たない設定なのだ。
 しかしながら日本人の多くは、そのような問題意識はみじんも持っていないだろう。さらにこの番組に限らず、多くの人は子供時代にはじめてのお使いをリアル体験しているという教育の方針のようなものがあり(幼稚園や保育所でも、家庭でそのような体験を奨励している例もあるという)、子供を持つ親は、いつの時期にこのような体験をさせるのか、気をくばっているところが多いのではないか。
 もちろん確かに日本という特殊な環境が、ふつうに「はじめてのおつかい」を実現可能にしているということが大きい。たとえ車が通る道路といっても、日本の住宅街で暴走する車は少ないし、歩道がちゃんと確保されていない道であっても、歩行者を優先させる交通マナーは、一般的に常識の範囲である(多くの国はそうではなさそうだが)。また、お店側であっても、子供が一人で買い物に来ても、何か大きなトラブルでそうなったとはあまり考えそうにないし、親切に接することの方が当たり前ではないか。もっとも完全に見守りなしにそんなことをするのは、やはり問題はありそうだけれど。
 そういう文化ギャップを抱えた番組が取り上げられたのは、やはりその日本の特殊性ゆえだろう。なんか変だが、これが日本という国だというのは、実際にどんな感覚なんだろう。外国人にこれを見てもらうことは、日本にどんな影響を及ぼすだろうか。
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