カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

戦争当事国以外でも大きなシフトチェンジが起こる

2022-05-21 | HORROR

 圧倒的な軍事力の差があることが明白と思われていたロシヤとウクライナであるが、だからこそ数日でウクライナが降伏するというシナリオが成り立ち、ロシヤは軍事侵攻に及んだと考えられる。そういう判断なしに今回の蛮行が決断されるはずがないと考えることが合理的だろう。誰もが納得することとしては、命よりも大切なものはない。僕らは生きているからこそ今のすべてを認知できる。つまり、ウクライナの多くの人々は、命より大切なものがあるからこそ抵抗し続けているということになる。国家間の戦争というのは、改めてそういうものだということを証明している。最初から勝てる戦いでは無い状況であっても、不合理には負けられない。ゼレンスキーという普通ではない政治家が誕生した背景は、こうなると必然的でもあったかもしれない。
 そういうことに伴って西側からの軍事的な支援がある。もちろんそれで三か月も持ちこたえているわけだし、それなしにはここまでは戦えはしないけれど、それでもそれを使って戦っているのは生身の人間であるわけで、ウクライナ人でなければ戦えないともいえる。外国の人でもそういう心持のある人間はいるかもしれないが、そう簡単な道理にはなれないだろう。実際にまだNATOに正式に加盟する前だったとか何とかいうもっともらしい理由をつけて、むしろ武器等の供与で勘弁してくれ、という国ばかりではないか。痛みを伴う制裁を科しているということもあるが、完全に止められない事情のある国だってある。一日に千億円あまりの金額がいまだにロシヤには流れているとみられ、もちろんそれが戦費を支えているわけだ。
 しかしながら、ロシヤには核兵器等のさらに強力な軍事的な脅威がある。他国が参戦しない理由は、つまるところ核の脅威である。もともとウクライナも核兵器は持っていたが、核拡散の国際協調とNATO加盟なども視野に入れ、自らの核兵器は放棄した経緯がある。皮肉なことに持ったままだったらロシヤは軍事侵攻しただろうか。これをもって核拡散を防ぎたい向きには納得したくない事実だが、絶対に軍事侵攻はしなかっただろう。事実NATOとアメリカは、軍事的に反攻していない。長期的に見てプーチン・ロシヤである限りは、経済的には勝負がついたけれど(それ以外に選択が無かっただけだが)、核と資源国である大国ロシヤが滅びたわけではない。ただしプーチンは今年70歳になり、ロシヤの男性の平均寿命は68歳である。ポスト・プーチンなら、また違うシナリオが成立するかもしれない。
 今回の戦争で明らかになったことは、例えば中国が台湾に軍事侵攻してもアメリカは動かないだろうということであり、それは日本であってもそうだろう。中東やアフリカの国々もそれは理解した。経済発展なしに国民の個人の幸福は無いし、国家の繁栄もないが、独裁者や権力者の立場はそうではない。要するに自分の命を民主的な大衆から守ることと、自らが馬鹿である限りは、核を持ちさえすれば生き延びることができる。この答を前にして、それなりの立場の国々がどのような選択をするのかは、かなり明確なのではなかろうか。
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