カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

鳥の顔って確かに怖いかも   鳥類学者無謀にも恐竜を語る

2017-12-28 | 読書

鳥類学者無謀にも恐竜を語る/川上和人著(技術評論社)

 題名を見ると、なぜ鳥類学者が恐竜のことを語るのか、という問題がありそうだが、既に知っている人もあるだろうが、恐竜を祖先に持っているらしいのが、鳥類だからである。恐竜は、恐竜としては絶滅した訳だし、恐らく恐竜は爬虫類のようである。トカゲがデカくなると、なんとなく恐竜っぽいことになるような気がする(なんとかサウルスとは、トカゲの意味である)。しかしながら、そうとばかりではなく、鳥類はどうも絶滅した恐竜と縁のあるルートが生き残って、後に鳥類になったものらしい。だからこそ鳥類の特徴などから類推することで、今は化石でしかその存在を知ることのできない恐竜のことが分かるかもしれないのである。そうしてそういう恐竜のことをあれこれと説明した本が、この内容である。
 文体にユーモアがあふれていて、人によってはちょっとこの調子に慣れるのに時間がかかるかもしれないが、内容的には情報量が多く、目から鱗が落ちることになるだろう。ときどき冗談なのか本当なのか考える時間も必要になる場合もあるが、しかしその冗談に使われている内容であっても、オタク的に啓発されるものが混ざっている。いわゆる博識と時に偏った情報が混在していて、なかなか味のある内容なのである。まあ、それは読んで体験してみてくれればよいだけだが。
 今の時代の恐竜に関して言えば、子供向けに着色したものが多すぎて、変に誤解をしている人がいるのではないかとも思われる。考えてみると生きて動いている姿を見た人は誰も居ないので、見つかった骨の化石などから想像を働かさせて映像化している訳だが、一般的にみられる恐竜たちが、本当にあのような(とは勝手にこっちも想像している訳だが)姿なのかは確定している事実なのではない。皮膚や毛がどうなのかは分からないし、色だって不明だ。さらに鳴き声だってわかるわけが無い。一応草を食べていたり肉食のものがいたりしただろうことは分かっているが、実際にどんな風に狩りをしたり、何を本当に好んでいたのかなどは、少ない化石の証拠から類推していくしか方法が無い。さらにその子孫である鳥類の生態から、遡って考えることが出来るかもしれないという事が、この本を読んで改めて分かる訳である。しかしながらその想像力も、やはりさまざまな証拠をもとに多岐に亘って類推する必要がある。そういうことを細かくやっていくと、とても付き合うのが難しい研究になってしまう。そういう部分を楽しく紹介しようという、工夫に満ちた本だと言えるだろう。イラストもふんだんで、柱脚も(ふざけたものも含め)なかなか読ませる。
 面白い本というのは、トイレの時間を長くする。妙な告白だが、そういう事実がこの本の面白さを証明している。もちろんトイレで読まなければいけない本ではないが、読みだすと手放せなくなる類の本ではなかろうか。
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