カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

海の岩場の三角関係

2017-12-08 | Science & nature

 伊勢エビはその硬い殻で身を防衛している。またトゲトゲのある触角などでも身を守っている。一部の魚(カワハギの仲間など)を除いて、魚たちはこの防衛に文字通り歯が立たない。
 しかしながらこの硬い殻をものともしない天敵がいる。マダコである。マダコはこの硬い殻を砕くことが出来る口の機能がある。また伊勢海老のトゲトゲをものともしない吸盤で、動きを封じ込めるだけでなく、口からだす毒で体を痺れさせ食べてしまう。
 マダコは、伊勢海老が身を隠す岩場の陰にもぐり込んで襲うこともある。ところがこの岩場には、海のギャングとも言われるウツボも多く生息している。ウツボはマダコを大好物にしていて、足に咬みつくとぐるぐる体を回転させて引きちぎってしまう。マダコはやはり好物である伊勢海老を狙うが、伊勢海老はこのウツボを用心棒にして、マダコから身を守っていると考えられている。ウツボは伊勢エビの殻に歯が立たないが、身の柔らかいタコを襲うために、伊勢海老の周辺に張っているような感じだ。
 見事な三角関係といった感じだが、このような危険を冒してもマダコが伊勢海老を狙うのも、マダコの一生が一年しか無く、卵を産むために多くの栄養を摂らなくてはなら無いという事情があるようだ。ちなみに伊勢海老の寿命は20年とも言われ、大きく成長した伊勢海老は、マダコにとってこの上ない栄養分になるのだろう。
 一番強いウツボの寿命は30年(ウツボにも種類はあるが)。まさにこの海の世界では、王者のような存在だ。しかしながらこのウツボは非常に好戦的で、仲間どうしでも激しく争い合って生傷が絶えない。小さい個体は、そのまま餌になってしまうようだ。また、ウツボは大変に美味とされ、人間が好んで食べる。しかしながらその強靭な口で咬まれる危険も大きく、咬まれると縫うほどの大けがを負いかねない。魚屋に食材として並んでいるならともかく、安易に近づかない方がいいだろう。まあ、見た目もグロテスクだし、素人が相手する存在ではなさそうだけれど。
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