カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

親子や監督さん達皆どこかおかしい娯楽作   アフター・アース

2017-08-21 | 映画

アフター・アース/M・ナイト・シャマラン監督

 酷評とされたことは後に知る。そりゃそうだろうな、という内容。でもまあ、そこまで悪く言うことは無いというくらいは面白い。ということで逆に掘り出し物作品になっている。
 宇宙船の故障で、やむなくはるか以前に人類が放棄した地球に降り立つことになる。人類が住めなくなったから放棄したわけだが、地球は元地球人が住むには過酷な原始環境になっている。さらに宇宙船には、訓練のために地球人を殺戮するためだけの生物を積んでいた。宇宙船は激しく破壊され、乗組員は伝説の兵士親子の二人のみ。強靭な兵士である父親は致命的な負傷をし、まだ兵士にはなり切れていない少年である息子が、破壊されて分離した宇宙船の後部部分まで、救援信号の発信機のためにサバイバル移動しなければならなくなるのだった。
 原作は主演親子も演じているウィル・スミス。向こうの人は面の皮が厚いから、自分たちをヒーローにしてもちっとも恥ずかしくないというのが見て取れて微笑ましい。実の息子と共演しているが、息子の将来のこともちゃんと考えているともいえる。親の七光りというのは日本にある言葉だが、あちらはちゃんと親が子を売り込むわけだ。
 監督がシャマランというのは、直接期待値となるか不安値となるかは分かれるところだが、今回の場合はあんまり関係なさそうという感じ。正直言ってこういう映画を実際に映画化しようと思った功績はあるかもしれないが、それ以外にいわゆるシャマランらしさというのはほとんどわからない。それくらい普通の娯楽アクションだ。危機をあおる為の危機が行き過ぎているというのはあるかもしれないが。
 怪物が恐怖に対するフェロモンに反応して攻撃してくる、という設定になっていて、まあ、そんなにややこしいことを何でしたか分からない人間らしい生物がいたものだと思う。恐怖心が無ければ怪物にとってゴーストになり、人間に有利に反転する。人間の持っている武器は、しょうも無く古典的で、こんなんで戦うというハンデが限りなく恐怖的である。父親はその恐怖心を克服した伝説的な戦士であるとされるが、さまざまな予知能力などもあるスーパーマンだ。皆が死んでしまうような宇宙船の事故でも、重傷を負ったとはいえ生き延びる。この設定がもっとも漫画的に成り立っている鍵だが、しかし本当に重要なのかどうかもよく分からない。一番重要だったのは、今考えてみると大きな鳥で、もともと捕まえた目的やその後の関係など、何か人知を超えて分かりにくい都合のよさに満ちている。要するにご都合主義的な展開が酷評の大きな原因と思われるが、地味だけど、展開も読めるけれど、ちゃんとドキドキもするし面白い映画だ。こういうことにお金をかけて、バカにされても作られてしまう映画という不思議な世界を楽しむ好材料といえるだろう。
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