ちはやふる(下の句)/小泉徳宏監督
都大会を制し全国大会の切符を手にした瑞沢高校。しかし全国大会で会えると思っていた新は、かるたをやめるという。かるたの師匠でもあるおじいさんが死んで悲しんでそういっているらしい。千早と太一は新に会いに福井までいくが、どうにもならんらしい。高校の部活としてさらにレベルアップを目指してかるたに励むが、千早は個人戦で全国一位のクイーンとの対戦に頭がいっぱいで、チームワークは乱れまくる。かるたは個人的な戦いであるようでいて、実はメンタルなところで団体意識こそ大切な競技であることがだんだんわかってくる。そういう中で新設の部ながら、皆の実力は確実に上がっていくのだったが。
クイーンという絶大なライバルの出現で、大きな目標そのものは出来るが、そのために全体のバランスが大きく崩れていく。実際の話の展開もかなりわがまま極まりないが、何しろ主人公のやらかすことだから、なんとなく大目に済んでしまう。恋の行方としても軸としては明確に進んでいるはずだけれど、これはなんとなく逆にあいまいな方向に進んでしまう感じだ。恐らく原作が長いために、引っ張っているのかもしれない。かるたの勝負としては見どころが多くなって、かるたの競技の異常性も含めて、素人でも燃える感じは素直に伝わってくる。そういう意味ではスポ根だけど、勝敗だけにこだわりすぎていない感じは、少年漫画とは一線を画すものがあるようにも感じた。やはりこれは少女漫画なのだ(実写だけど)。
出てくる人のキャラクターが、それぞれ面白いのかな、と思う。変な人が多いが、それぞれに事情がある。変だけど理解できる。そういう描き方の妙だろう。もの凄くマイナーな世界なのに、その厳しさや激しさも伝わってくる。何事も大変に高いレベルがあり、それを目ざす人々がたくさんいる。日本も人口が多いんだな、と改めて思う。これが文化としての深みのようなもので、クールジャパンなんじゃないか。外国人に憧れられなくても存在する強みが、日本の本来の強みであろう。