カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

北の将軍よりも怖いかもしれないサウジ

2016-11-05 | HORROR

 サウジアラビアのことが紹介されているドキュメンタリーを見た。サッカーのアジア予選で戦うことのある国くらいしか知らなかったので(それに案外親日国とも言われている)、ちょっとした驚きだった。なんとなく中東でも平和な国なのかもしれないとは思っていたが、とんでもなかった。
 まず、国自体がサウード家が統治している王国である。一応表向きには政治体系があるように見えるが、一族が政治も支配しており、事実上家族会議が国会のようだ。国土も広く13の州があるが(砂漠が多いようだけど)、これの知事も一族でなければなれない。法律や憲法もあるんだか無いんだか。いや、イスラムの戒律を基本にしているとはいえ、判決はかなり恣意的な感じのようだ。殺人や強姦は死刑で、麻薬や同性愛も死刑である。戒律に反するものは重く、ポルノなども重刑に処される。飲酒は鞭打ち。酒瓶は見つかればすべて割られる。窃盗は手首切断もある。死刑は斬首で、遺体は高い場所などにさらされる。裁判はあるようだが、街頭で警察などが目に余るもの(と彼らが判断したもの)は、そのまま斬首しているように見える映像も紹介されていた。勧善懲悪委員会というものがあるようで、宗教的に認められないものを取り締まり、逮捕する。女性がベールを被っていなかったり、さらに化粧などをしていると、殴ったり蹴ったりしていた。基本的に女性には人権は認められていないということらしく、男性と一緒でなければ自由に歩くことも出来なさそうだった。女性が一人で買い物していたら、通りがかりの機嫌の悪い男は殴ったり蹴ったりしても咎められない。もちろん仕事もできないし車の運転もできない。貧富の差も激しく、女性が生活のために物乞いをあちこちでしている。国民の四分の一は貧困層らしい。一方でサルマン国王の個人資産は、日本円で約910兆円といわれている。例えば一日一億使っても365億しか一年で減らない訳だから、もう少し国民に分けてもよかろうと個人的には思うが、たぶん国王はそうは思わないのだろうと思う。それにしても一日一億使うだけでもずいぶん大変だろうな。よく分からんが。
 報道の統制も厳しく、これらの映像はすべて隠しカメラだった。外国人を見つけると勧善懲悪委員会が寄ってきて撮影をしていないかチェックしている。捕まればどうなるか分からない。音楽は原則禁止で、公園でギターのようなものを弾いていた人は、指の骨を折られ、もちろん楽器も壊されていた。もちろん反発する人もいて、ツイッターで自由な発言をしている人が紹介されていたが、ほどなく捕まり、行方が分からなくなった。また自由な格好をしたいとしている女性活動家も、事実上の軟禁状態のようだった(地位の高い女性かもしれない)。
 観光ビザはおりないから観光客はいない。言論統制もしかれているし、このような恐怖政治だから、危なっかしくて人々はうっかり何も言えない。サウジには壁にも耳があるというらしい。日本にも障子に目あり、ともいうが、それは困ったことである。
 このような国であるが、おおむね西側はそのような現状に事実上目をつむっている。そのようにして外交上友好関係を結んでいる(日本もそうだ)。理由は既に分かっているだろうが、サウジアラビアには、世界一の石油の埋蔵量があるからであろう。また、石油価格は上がり下がりはあるものの、サウジが増産すれば、消費国の経済はそれなりに助かるわけだ。サウジ国内の人権よりも、自国の経済の方が政治的には重要という本音の現れかもしれない。我々の暮らしの安定のために、彼女らの犠牲になった人権があるという図式になるのかもしれない。まったく、あらためて考えさせられる王国の姿である。
コメント
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