パーマネント野ばら/吉田大八監督
原作は西原理恵子の漫画。母親がやっているパーマ屋さんに、出戻りの子連れの娘が帰ってくる。客が男運の悪い女の巣窟のようなところになっており、皆いかに苦労したかを愚痴り合っている。それでも男がいないよりまし。彼女らにとっては男というのは娯楽のようなものらしい。いや、そういうサガというやつか。それでまあ、群像劇のようなことになっていて、特に飲み屋のママさんをしている小池栄子のような人は、確かにいるような気もした。まあ、だからヒモというような男が昔から生きていけるのだけど。
普通ならグダグダの変な話になりそうなところなんだけど、これがかなり面白いことになったという感じはした。イタい話が続くのだけど、そうしてまともそうな人が一人も出てこないのだけど、泣けるのである。主人公の出戻り女なんかは、そういう女たちと一定の距離を保ってまともそうに見えるのだが、最後の衝撃のどんでん返しである。驚いたというか、泣けてしまった。いい映画じゃないですか、これは。
正直言って設定的に妙なわざとらしい特殊社会という感じがして、苦手かもしれないと思いながら観ていたのだが、杞憂だったというか、むしろその特殊な世界に普遍性があるような気もしてきて、まあ、そうだよな、と納得してしまう自分がいる。いや特段カッコつけて差別化している訳でもないが、いくらなんでもパンチパーマのおばさんに知り合いなんていないし、こんな会話なんてものも聞いたことも無いのだけれど、リアルさが感じられない訳ではないのである。
勢いでつい原作の漫画も注文してしまった。これは名作ではなかろうか。