カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

僕なら南に逃げるけどな   ジヌよさらば~かむろば村へ~

2016-06-07 | 映画

ジヌよさらば~かむろば村へ~/松尾スズキ監督

 原作は、いがらしみきおの漫画らしい。銀行員生活でお金アレルギーになり、お金を一切使わない生活を送るために東北のある村に移住した青年を取り巻く、村人などを交えたコメディ。ジヌとは方言でお金のことらしい。もともと設定に無理があるが、この青年はちゃんと貯金は持っているようだ。ジヌが現金を指すのなら、カード生活でもよかったろうに…。まあ、それではお話が成り立たないが。
 移住先を東北の過疎の村にするのだが、そこに住んでいる住民がまた個性的すぎるというか、変な人ばかりなのだ。その過剰さの中にあって、むしろお金アレルギーの青年は、段々と比較的まともな対象となっていく。基本的にはギャグではあるが、暴力的なことが結構起こる。ポルノほどではないが、それなりにエロも満載。そういう意味では正直な作品とはいえるかもしれない。いい人と悪い人が交差してどちらの人か分からなくなり、そういうサスペンスかと言えば、それは主題ではない。最後の方はどういうわけか選挙戦に突入して、ちょっといい話になるという感じだろうか。いや、いい話だったのか…。
 乱暴にいうと無茶苦茶な作品なのだが、ひょっとすると原作がそうなのかもしれない。設定が面白いので、自然にキャラクターが動き出して混乱するだけすると面白みが出るという演出かもしれない。
 ある程度は病気だから仕方がないとは思うが、経済活動が出来ないのであれば現代社会は現実的には生きていけない。物々交換と現金の交換は代替であるだけで同じようなことだから、お金が悪なのでもない。しかしながらお金のインパクトはそれなりにあって、人は結局お金に振り回されるという話かもしれない。意図せずかもしれないが。
 しかしながらこの映画を観て、最近はこのようなヤクザな人たちが日常にいるような風景というのは減ったな、と思う。僕らの子供の頃は、よく知らなかったのかもしれないが、大人社会には少なからずヤクザな人々は多かった。田舎であっても存在した。当然今いても不思議はないのだが、不思議なくらい減ってしまった感じがする。そういう意味では古き良き時代の日本というか、あまり現代的ではない世界の話のようにも感じた。そういうものが逆説的に現代で新たに作られるという感覚が、それなりに今風なのかもしれない。
コメント
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