カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

M田くん、大丈夫か…。   君の膵臓を食べたい

2016-02-15 | 読書

君の膵臓を食べたい/住野よる著(双葉社)

 最初に断わっておくと、この本自体はまったくお勧めでは無い。本当に稚拙な小説だと思ったし、むしろ酷すぎると頭を抱えたくなるような内容だった。しかしながら、お好きな人が、読むのは勝手である。
 じゃあなんで読んだのか、ということになるが、朋友のM田くんが「読め」と薦めてくれたからである。それでちゃんと買って読んだのだから、関係者の方はご了承ください。
 内容は、膵臓を悪くして余命いくばくもない女子高生と、そのことを知ったクラスメートの(人間関係を作るのが苦手な)男の子との交流を描いたものである。またその周辺の人間模様というか。会話がハードボイルド・エンタティメント系のこじゃれたもので、それが若年層で軟弱に交わされるとこうなる、という感じが特徴かもしれない。
 読みだして、普通ならすぐに放り出す類の本だと思ったが、しかし興味は、「なぜこんな作品をM田くんが薦めてくれたのだろうか?」という思いだけだったかもしれない。答えとしては単純に、彼が良いと思ったからなんだろうけど、それを僕に分かって欲しい気持ちもあったのかもしれない。ところが僕としては、その気持ちがさっぱりよく分からないのである。まったくの逆効果というか、本の好みなんて個人の勝手だから、それでも僕が読んだら面白がると考えてしまうくらい、僕らは分かり合えていないということに尽きるのかもしれない。まあ、それくらいは僕だってM田くんのことは知らない訳だが…。
 僕もまあ、高校生くらいの時から村上春樹は好きで読んでいて、要するに初期のあの翻訳調のクサい感じがツボにはまったからなんだろうけど、それで僕の方も大人になって、なんだかんだと文句を言うこともあるにせよ、やはりいまだになんとなくクサさの抜けない彼の作品は読んだりするわけだ。この作品の会話の展開というのは、恐らくそういう村上第二世代(伊坂幸太郎など)といわれる人たちの亜流のようなものなのだろう。ハマると中毒性があるのだろうというのは、分からないではない。
 M田くんも大人になって、いや、子供の頃から続いていることもかもしれないが、いろいろつらいことがあるのかもしれない。そういう気分がこの本によって救われたのなら何よりである。僕はつまらないものを読まされて荒んでしまったけれど…。でもまあ焼肉を食うなら、ロースやカルビばかりではちょっとしんどいことは確かである。ミノとかハツとかホルモンなどを、食べて元気になれるといいですね。
コメント
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