カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

とにかく自由でハッピー(でも世間(SNS)知らず)  シェフ 三ツ星フードトラック始めました

2016-02-17 | 映画

シェフ 三ツ星フードトラック始めました/ジョン・ファブロー監督

 主人公は、人気の三ツ星レストランのシェフをしている。そのレストランにグルメ評論家が食べに来ることになる。どうも彼は以前にこの評論家から好意的に取り上げられたことで、トップのシェフに登りつめているようだ。当然張り切って斬新な料理を作ろうと奮起するが、レストランのオーナーから、いつも来てくれる客が喜ぶいつも通りの無難な料理を作れと厳命を受ける。仕方なくそうするが、グルメ評論家からはめちゃくちゃな酷評を受け、ズタズタに傷ついてしまう。そういう中、分かれた妻のところ居る息子からSNS(ここではツイッターのようだ)の使い方を少し習う。そして、ツイッターでこき下ろした批評家に、再挑戦するようなことを書いてしまう。もちろん批評家はそれを受けて再度レストランに食べに来るが、その時もやはりオーナーが立ちはだかり、自分の店で好き勝手は出来ないということでそのまま首になってしまう。しかしながら批評家はレストランには食べに来ており、怒りが収まらない男は批評家に向かって罵倒を浴びせてしまう。その場面を他の客が画像に収め、さらにネットで再炎上するのである。ということで、腕は立つが困った人間としてどのレストランも男を採用することは無くなってしまう。で、再出発に元妻の元彼から譲ってもらったフードトラック(エンジン付き移動屋台のようなものですね)で、マイアミから再出発することになるのである。
 これが大雑把な前半だが、それまでも様々な料理が実に旨そうに作られるのだが、後半はジャンク風の屋台料理ながら、実にまたこれが旨そうな、そうしてまったくヘルシーでもない料理がどんどん作られる。それを見るだけでも結構楽しい。また危機的なさまざまな状況が、屋台で料理を作りながら移動することで、どんどん改善されていく。特に料理オタク過ぎて家庭を顧みなかったからこそ離婚したような男だったわけで、息子もつれて父親としての関係も取り戻していったりする。妙にセクシーな元妻とも関係改善されていくような感じだし…。
 有名レストランのシェフを務めるというのは、料理人として最高に登りつめたしあわせな状況だったかもしれない。しかし本来的に料理を楽しんで作る。または、その料理を客に喜んで食べてもらうという喜びからは、なんだかちょっとだけズレていくようなものがあるのかもしれない。組織で働くというのは多かれ少なかれそういうことはある。この物語は、恐らくそういうことへのアンチテーゼとしてのサクセス・ストーリーなのだ。それはあるいはリスクは大きく見えるようだけれど、例えばこのフードトラックのような安っぽい方法さえ思いつければ、もしくは本当に自分でやれるという一歩を踏み出すことが出来れば、自由にやることだって可能じゃないか。まあ、そういうことなんだろう。まったく夢のある物語である。
 映画としてはそれでいいが、くれぐれもまだまだ自分の腕に自信の無い人は真似しないように。あまりにハッピーなので老婆心ながらそんなことも思った。まあ、それも自分の人生なんだから、いらんお世話ではあるのだけれど…。
コメント
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