“マリガンを迎えて”

2023-08-02 | 【断想】音楽

 ジェリー・マリガンに「アット・ザ・ヴィレッジ・バンガード」と言うアルバムがあることをガイドブックで知って、聞いてみようかと思っていた。
 新宿のディスク・ユニオンで棚を見たが、見つからなかった。
 それで、代わりに手にしたのが、次のアルバムだ。
 CDケース表面に、GERRY MULLIGAN WHO'S WHO IN JAZZとあり、“APPLE CORE”、“LIMELIGHT”とだけ表示されていた。
 裏面に、収録曲が8曲ならんでいた。演奏時間も演奏者も、いつどこで録音されたかも記されていない、なんとも情報不足のものだった。
 ただ、裏面にならんだ曲が、親しみをもてたので買った。
 あとで、ケースを開くと、中には、ライナーノーツもなかった。
 CD盤にプリントされた文字を見て、やっと、もとのアルバム名を知った。
 以下の通りであった。
 だけど、そこにも、演奏者名はなく、ネットで調べて判明。
 「ライオネル・ハンプトン・プレゼンツ・ジェリー・マリガン」(1977 アメリカーナ・ソングス:SEEM)。
 ジェリー・マリガンも演奏しているが、ライオネル・ハンプトンをリーダーとしたアルバムじゃないかと気づいた次第だ。
 もともとのジャケットは、このCDケースのもとは、異なるようだ。
 実際に聞いてみると、なかなかにグッドな演奏である。
 きれいで、嫌味なく、ジャズの愉悦に満ちている。
 ハイ・センスなおもむき、洒落た香り、上品な大人のただずまいを感じさせる。
 「ブライト・オブ・ザ・ファンブル・ビー」は、ラテン・ムードで、コンガだろうか、よく響く。
 全体に、ドラムのドンドンというかドスドスというのか、ちょっと邪魔。
 「ジェリー・ミーツ・ハンプ」のヴィブラフォンは、ミニマル・ミュージックというのだろうか、この言葉の使い方が間違っているかも知れないが、短い旋律を若干のヴァリエーションで繰り返している感じ。
 「ブルース・フォー・ジェリー」は、ジャージー。
 「ライン・フォー・ライオンズ」は、落ち着いた定型ジャズ。ジェリー・マリガンの音の魅力が愉しめる。
 「ウォーキング・シューズ」は、なんだかウキウキ、ウエスト・コーストの香り。
 〈パーソネル〉
 ハンク・ジョーンズ(p)
 ジェリー・マリガン(bs)
 キャンディド・カメロ(per)
 グラディ・テイト(ds)
 バッキー・ピザレリ(g)
 ライオネル・ハンブトン(vib)
 〈収録曲〉
 1.アップル・コア
 2.ソング・フォー・ジョニー・ホッジス
 3.ブライト・オブ・ザ・ファンブル・ビー
 4.ジェリー・ミーツ・ハンプ
 5.ブルース・フォー・ジェリー
 6.ライン・フォー・ライオンズ
 7.ウォーキング・シューズ
 8.ライムライト