風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

追悼

2021-03-13 | 読書

他の本を買おうと入った書店で見つけ
つい手にとってしまった本。
以前「昭和史」を読んで、
事実に裏打ちされた細かな記録に驚愕した。
それもこれも、ご自身が体験した東京大空襲や
文藝春秋社勤務時代に知己を得た坂口安吾や司馬遼太郎など
昭和を生きた人たちからの影響によるものだという。
決してイデオロギーに縛られた人じゃないことは
リベラルから保守的出版社まで、
さまざまな出版社からの刊行物があることでわかる。
その思想の根源はシンプルでわかりやすく納得できる。

特に日清戦争〜日露戦争のころと第二次大戦の頃の
日本の政府と軍の対応の違いは目からウロコ。
日清戦争で勝ったものの、三国干渉で苦汁を飲まされた日本は
その経験を日露戦争に活かした。
「この痛烈な体験があったゆえに、
 日露戦争にさいしては、開戦当初から外交戦を開始し、
 和平の仲介役にアメリカを動かそうとしっかりと目標を定めていた。
 それが見事に成功し、日露戦争の『勝利』を国際的に確定することができた。
 なのに、戦前昭和においては外交努力は欠落していた。
 その結果はいわずもがな、なのである」

私の心の師は柳宗悦さんだが
物書きの端くれとしてはこの人も心の師と言える。
この時代、最も必要な人だと思うのだが・・・
本当に惜しい人を亡くした。
コメント
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