風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

いくつかの懸念

2008-05-11 | 風屋日記
nanaponさんの記事を読んで私が感じること・・・。

これまで私が取り上げた諸テーマを見てきて
恐らく疑問に感じておられる方々もおられると思うけど、
今までチベット問題については殊更取り上げてこなかった。
どちらが正義でどちらが悪と色分けできない
複雑なことを様々含んでいるからだ。
しかしnanaponさんのエントリーを読み、
普段感じることもあったのですこーしだけ触れてみる。

中国の対応は確かに問題が多い。
と同時にダライ・ラマの意志に反して暴動を起こしたという
一部僧侶達や市民も問題だと考える。
どちらにも言いたいことだが
暴力からは失われることはあれ、何も生まれはしないからだ。
ただし私がもっと憂慮することが他にある。

まず思想統制、情報統制の問題だ。
nanaponさんが取り上げておられる方の体験したこと。
それは中国や日本のみならず
今も世界中で行われていることだと私は感じる。
以前こんなことも見聞きしたし。
特に現代はマスメディアが発達し、
私たちが得るほとんどの情報はそれらからもたらされる。
真実、事実を果たして伝えられているのかどうか
受取る側も簡単にそれらの報道に乗ってしまうことなく
きちんと疑問を持ち、疑いながら検証する必要があるだろう。
そうでないと世論はいとも容易くコントロールされてしまう。
戦前の日本と同じように。
例えばチベットでの暴動の映像は主に中国メディアからもたらされた。
その映像を我々は鵜呑みにしていいのだろうか。

もうひとつ。
時々私が覗き見ているネットのいくつかの掲示板に
「5月8日は早稲田大学に集合!!
 胡錦濤にフリーチベットのデモを見てもらおう」
との書き込みが相次いだ。
いろんな掲示板に書かれていたので、
一部の学生達からの呼び掛けだけではないだろう。
政治や国際問題、社会問題に若い人達が興味を持ち、
それを表現するために何かしら行動を起こすのはいい。
ある意味正しい若者の行動だから。
でもね、よく読んでみるとどうも方向性が怪しい。
上記の呼び掛けに続き
「胡錦濤をただで帰すな。
 中国に目にもの見せてやれ。韓国でもいいけど」
韓国? フリーチベットとは何の関係もないが・・・。
そして気がついた。
これを呼び掛けているのはいわゆるネット右翼、
プチナショナリズムと言われる連中が中心だということを。
要は何かネタを見つけて中国・韓国を困らせてやれと
普段から思っているケツの穴の小さい輩達らしい。
チベットなんて関係ねーじゃん。
ネタにされたダライ・ラマ達はいい迷惑だわな。
ってか、ダライ・ラマが言う「暴動を起こした人達」って
これらネトウヨと同類の人間達じゃないのか?

ミャンマーの軍事政権、スーダンのダルフール、
イラクとトルコの国教地帯のクルド人たち、
グルジアやチェチェンやパレスチナのガザの人々や・・・
明らかに人権侵害が行われていたり、懸念される場所はたくさんある。
本当に人権侵害や情報操作に対して抗議の行動を起こすなら
相手は中国だけじゃない。
視野の狭いナショナリズムごっこを楽しむのではなく
もっと広く世界を見、様々な圧力と戦う若者達の出現を
私は切に願う。
コメント
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