風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

マンガ

2008-05-23 | 風屋日記
「狭間世代vol.2」の記事に対して
園長さんからいただいたコメントに関連してマンガ遍歴を。

小さい頃はあまりマンガは読んでいなかったが
唯一ハマったのが当時の男の子の例にもれず「巨人の星」。
単行本を揃え、隅から隅まで何度も読み込んだお陰で
大学へ入ってから「巨人の星オタク」との称号を得られた(^^;
何せ「巨人の入団テスト時の星の受験番号は?」とか
「星の恋人として報道されたのはオーロラ3人娘のうちの誰?」
なーんていう質問を友達同士で出し合って完勝してたから(笑)

中学時代は妹が時々買う「りぼん」をパラパラ見る程度。
それでも五十嵐ゆみこの「レモンスカッシュ4人組」は好きだったかも。
そして高校入学。衝撃的な出合いが私を待っていた。
「フーテン」「漫画家残酷物語」の永島慎二、
「ねじ式」「紅い花」のつげ義春、
「赤色エレジー」の林静一らの作品に夢中になった。

永島慎二の作品は私を上京へと導いてくれた。
彼の描く雑多で渾沌としていて茫洋とした東京、
迷い、戸惑い、彷徨し、内に隠っていく登場人物達は
将来自分に訪れるであろう嵐の季節を期待する田舎の高校生を
がっちり捉えて離さなかった。
・・・が、満を侍して上京した私を待っていたのは
すでに嵐の時代が過ぎ去った後の砂漠のような東京だったけれど。

つげ義春の作品のうち、特に印象に残ったのは「紅い花」。
大自然の中の素朴な少年少女の心の機微を描くこの作品は
永島慎二とは対極にあるように見えながら
どこか根っこのところでは繋がっていたように思う。
初潮を迎えたキクチサヨコの淡々とした表情が忘れられない。

そして「赤色エレジー」。
はっぴいえんどの伝説の名盤「風街ろまん」に
インスピレーションを与えたこの作品を知っている方も多いと思うが
私は今でもこの作品に対して語るべき言葉を持たない。
ラストの場面で主人公がひとり呟く言葉が印象的。
「明日になれば・・・きっと明日になれば・・・」
「・・・昨日もそう思った」

高校から大学にかけて単行本を全て買い揃えた
立原あゆみの「麦ちゃんのヰタ・セクスアリス」を忘れてはいけない。
今も我が家の本棚に並んでいるこの作品は
当時大学生活、都会生活に行き詰まり、荒んだ気持ちの私を
優しい、けれどもどこか寂しい気持ちにさせてくれた。
この作品を読んで私は、麦ちゃんが繊細な感受性で過ごした季節が
すでに私から知らぬ間に過ぎ去っていったことを知ったのだった。
そして果てなく夢を追うことばかりじゃなく
手の届くところにある身近な胸キュンを感じることの大切さも。

大学時代は別マやビッグコミック系をよく読んだ。
薪村さとる、くらもちふさこ、水島新二、池上遼一、西岸良平、
そしてたがみよしひさの「軽井沢シンドローム」。
「軽シン」の舞台である軽井沢という土地に憧れたことが、
似たような風景や環境を持つ故郷花巻に帰京することになった
ひとつのきっかけであったことを否定するつもりはない。
コメント
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