馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

側頭骨舌骨関節症 11症例目

2017-08-12 | 馬神経病学

眼がおかしい、ことに気づいた繁殖雌馬、14歳。

さらに鼻も曲がっていることにも気づいた。

で、獣医さんに診せたら、側頭骨舌骨関節症が疑われる、とのことで来院した。

喉嚢内視鏡検査で、左右の側頭骨舌骨関節近くが腫大していて、茎状舌骨も太く変形していた。

X線撮影で、左右の側頭骨が骨増勢しているのが確認された。

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症状が出ている左側を手術しましょう・・・・だけど予定が混んでいて・・・・

角舌骨摘出手術は危ない手術だと思っている。

舌顎骨の間から、関節を2つ切り開いて、骨を1本抜き取るという手技で、

血管を傷つけたら、部位が深くて結紮止血するのはたいへんだ。

傷に血液が溜まって見えなくなるが、それでも角舌骨を摘出してしまわないと目的が果たせない。

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休みを返上して手伝ってくれる担当獣医さんを助手にして、世間の盆休みが始まる日に手術した。

角舌骨は変形していなかった。

底舌骨との関節面もさほど大きくなっていなかった。

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4年前、私が3症例について学会で症例報告した

珍しい症例だと考えていたが、それ以降8頭手術した。

珍しくないじゃん;笑

この病気の症状と診断方法が知られることで、新たな症例も手遅れにされず治療できる。

獣医さんって勉強しなきゃだめなのよ。

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午後、2歳競走馬の球節の関節鏡手術。

夕方5時から繁殖雌馬の結腸捻転の開腹手術。

PCV49%、腹囲膨満がひどくて、立っていられないほど痛かった。

結腸の損傷もかなりひどかった。

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そういう症例では輸液治療も重要。

手前のカルピスウォーターは、私の術後経口輸液;笑