筋肉で体幹に固定・運動している前肢とちがって、後肢は寛骨(腸骨、恥骨、座骨)に大腿骨が股関節で骨としてつながっている。
つながりの順番からすれば、骨盤の固定(腰椎と仙椎の関節、仙骨と寛骨の靭帯結合、etc.)を学ぶのが先だろうが、解剖は表面から進めていくしかない。
浅臀筋は、大腿骨の手術でも邪魔になるなら第三転子から剥がしてしまって良いとされている。
そんなことをする可能性がある馬外科医は少ないだろうけど・・・・
大腿二頭筋は後肢の推進力を創り出す強力な屈筋。
臀部の中では中臀筋が強大。
そして犬の中臀筋は腸骨前縁から始まっているが、馬の中臀筋はもっと頭よりから始まっている。
最長筋と重なっていて、腱膜で付着していることで、筋紡錘を刺激しあうことで動きも連動するのだそうだ。
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ハムストリングスである半腱半膜様筋は、犬では座骨に始まっているのだそうだ。
しかし、馬はさらに背側まで延びている。
そもそも犬やネコ科動物のように、体幹を曲げ伸ばしして走る動物に比べると、馬は体幹が硬く、しならない。
その違いは腰椎にも現れていて、馬の腰椎は横突起が大きく、年がいくと癒合する。
しかし、腰椎と仙椎は関節面を持ち、可動性がある。
骨盤(寛骨と仙椎を含めて)の運動には、腹直筋(恥骨前縁に付着している)が大事だ、とのこと。
さもありなん。
仙椎と腸骨の付着にはいくつかの大きな靱帯が働いている。
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腓腹筋はふくらはぎ。人も内外に別れているが、馬も似ている、そうだ。
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夜は若い先生たちが、解剖体でさらに勉強するのを見学させてもらった。
”寛”跛行で、
そちら側の大腿骨大転子付近と、対側の仙椎から尾椎の横側に圧痛があり、対側へ腰をひねって歩く、のが1つのパターンで、
大腿骨大転子の背側へのステロイド筋注に反応する、とのこと。
それは、筋肉痛なのか?中臀筋などの腱炎なのか?そもそも分注されたステロイドは局所で効果を示すのか?
それは、股関節痛だったりしないのか?仙腸関節痛だったりしないのか?
休養はどうするのか?
わからないことだらけだが、”寛”跛行が実にさまざまで、それらを理解するための解剖学的知識が少し増えた。
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再生治療について話す機会もあり、若い先生たちは勉強しているな~と感心した。
ネットで情報収集できる時代であり、それに慣れた世代であり、英語力もかつての日本人一般より向上しているのだろう。
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夕方から珍しく往診に出たら、ひどく寒かった。
今朝はまちがいなくこの冬一番の冷え込みだ
暖冬だとか、雪少ないとか、冬将軍様なめた口きいてゴメンナサイ。
見聞の機会を逃さず、豊富な経験にさらに新たな知識を重ねていく。若い先生方からもよい刺激を得られる。そうありたいものです。
冬将軍様にあやまっちゃってる。
基本の解剖学をしっかり理解して初めて、他の科の日進月歩があるんですよね。
こちらも今頃になってドカ雪です。
この冬はちょっとなめてましたよね。おまけに宵の往診で凍えました。
そして、臨床家に役立つように見せる、教える、というのはHow to も必要なんでしょうね。
そちらも今頃になってですか。札幌は一夜にしては記録的なドカ雪だったようです。
対側の圧痛は本当にそこが痛いというわけでもないのでしょうね。
ステロイドを徐放材に混ぜて打てば局所効果か否かはわかりそうですし、応用法としてないわけでもなさそうです。
英語ばかりではなく学力がある時期まで偏差値で歳の差ほど違いますからね。
いびつにならないように伸ばすことしかできないかもしれませんよ。
予備校で大学の入り方勉強しました、というタイプはすでにいびつかも知れませんが。。
ステロイドの筋注は、その部分で働くのかどうか、信じている人は筋肉痛や肩こりで是非やってみていただきたい;笑
今は英語教材も豊富ですし、海外経験がある若い馬医者さんも増えました。抵抗なく海外へ勉強に行きますしね。
反面、海外からの情報も玉石混淆だと思います。