江別の研修所で開かれた麻酔外科研修の中の1日、プレート固定のインストラクターを頼まれて行って来た。
以前は、10年目研修の1日としてやっていたが、今回から希望者?選抜者?の集まりになった。
全道から8名。
今回もJohnson & Johnson Depuy Synthes の全面協力で、内固定器材を4セット使わせてもらえる。
まずはプラスチックボーンで、器具の使い方を体験。
本当はこれももっと時間をかけてやりたい。
プラスチックボーンで、ドリルやスクリューを扱い慣れておきたいところだ。
そして、今はリアルな骨のモデルもあるので、骨折を作ってプレート固定までスーツ姿でも練習できるようになっている。
AOのcourse ではそうやってホテルやconvention center や大学の1室で行われている。
1日当たりで5万くらい、3-4日間で20万近く取られるけどね;笑
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私たちは解剖肢でより実践的に練習。
この脛骨骨折モデルは長斜骨折になっていて、まずlag screw 3本で固定した。
長斜骨折は整復が難しいのだが、そこは死体肢なので筋緊張がなく、肢をぶら下げて牽引しなくても整復できた。
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午前は4チームがそれぞれに脛骨骨折をプレート固定した。
2時間ほどでできることを体験していただけたと思う。
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午後は、橈骨、上腕骨、大腿骨のうち2箇所か3箇所をプレート固定していただいた。
上腕骨はなかなかアプローチが深く、上腕骨が短く、くびれていて、遠位が内外に分かれていて難しい。
解剖体が3ヶ月齢だったので、新生子牛の解剖体より大きく、重く、骨も少しは固く、時間がかかる要因だったかもしれない。
育成牛で100kgを超えていると、整復も固定ももう少したいへんかもしれない。
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やってみて、X線撮影するとちょっとした失敗も見つかる。
遠位から2本目のscrewは、対側皮質のドリル孔に入らなかったように見える。
地元へ帰って、チームを造って、練習し、そして実践してもらいたい。
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岩手NOSAIには外科高度医療チームがあって、症例があると手術室がある診療所へ集まって実践しているそうだ。
宮崎NOSAIにも高度医療チームがあって、骨折内固定もやっていて、今度の家畜診療の全国大会で発表されるようだ。
北海道では年間500頭近い子牛の骨折が起きている。
治せるものは治していきたいものだ。
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これはうちの庭のニシキギ。
江別は、こんな小潅木は埋まってしまうほどの積雪だった。
(写真撮ってくるの忘れた;笑)
あの雪山の上に雪を積むのは誰がやってるの?
と訊いたことであった。
意欲ある精鋭たちの研修がチーム作りでより高度な医療の実践への結びつくといいですね。
早春から晩秋まで、放牧地の牛たちは生き生きしていました。骨折した子牛にもその季節を堪能し享受できる機会を。
今年はカラの群れが少なく留鳥は食べないようですが、数少ない冬鳥には人気なニシキギ。小鳥が食べたような枝の雪と赤い実の様子ですが、どうでしょ?
こんもり雪の壁は除雪機で飛ばしてしるのでしょ?その雪を運ぶ時のトラックとの連携が見事だと見入ったことがあります。
ホルスタインも黒毛も値段が下がって、固体診療には逆風なのですが、動物を飼うというのは経済だけでは割り切れないところがあります。治せるものは治してやりたい、飼い主も獣医師もです。
除雪機で雪山に乗せるらしいです。家の脇に雪山、歩道は歩けるようになっていて、歩道と車道の間に雪山、みごとでした。
これらに離職されると経験者が蓄積されずなかなかチームに至らない。
退職希望出てから求人かけてるNOSAI診療所みたいな。
X線像の整復は立派ではないですか。
件のスクリューは対向する最端と干渉して入れられなかったのかも知れない。
もしそうであるとしたらどちらを貫通させるのを優先させますか。
入れ直しますか。
もしかするともう少し長いプレートを選択したかったとかはありませんか。
大学がある地域の高度ってなんでしょうね。
街の小動物病院と同じステップでやる外科がそうであるとはいえまいし。
大学での診療が必ずしも適切でなければ免責をかけるのがNOSAIの立場でもありますし。
大昔は過大な評価額を仕掛けて共済制度に乗っかってくるクレーマーはいいお客さんだったかも知れませんが、それはもう受け入れられない仕組みになってますし。
そういうのを見て育った組織が無意識にそんなになっているかも知れませんね。
あまり過剰に入れ込まず、過小な市場評価にも左右されないような生産者に受け入れられるようなコーディネートが必要なのかも知れません。
整復はみごとですよね。スクリューも骨折部を避けて遠位向けたのかもしれません。
薬を配ったり、注射うってまわっているだけだと、人件費をかせげないと思いますよ。高度?かどうかは別にして、獣医さんでないとできない仕事をして、獣医さんでないと出せない成果を出さないと。
帰ってからこれやれと言われるならくじ引きだーなんて尻込みになってみたりするのかも。
X線像見る限り奥手になる必要なくない?と思いますけれど。
NOSAI獣医が損防と称してそっちに流れましたからね。
その流れが大学に還流し大動物外科教育なんて絶滅したでしょう。
金になる仕事と称してそれっぽい事をやる最たるが外科なのかも知れないですけれど、結果が伴わなければ飼養者に否定されて終わりですからね。
そうならないプロセスを考えなければならないのですよね。
外科に限った話ではないですが、ダメ元でやっていた所詰めて歩留まり上げていくのが一番評価と利益を得る手段と私は考えています。
射倖心で投資を煽るのはやっぱり阿漕なんですよね。
郡管理、ハードヘルス、コンサルティング、はけっこうなことなのですが、個体診療をおろそかにしすぎたのではないかと感じています。
成功率、治癒率は上げていかなければならないでしょうね。経済動物診療の宿命です。
そんなに抜けられても困る、な状況では流石にないでしょう。
群管理の根拠が正規分布n5p0.95でしたからね。
損失抑制どころか生産性の根拠としても詭弁に過ぎたでしょう。
個体診療の腕力でやろうと思えばこうなる、という話に過ぎなかったかも知れません。
5タテで上手くいったらその技術認めてもいいかもという方向に逆流してくるのがいても仕方ないんでしょうね。
5頭連続で助かる、うまく行く、というのはいろいろな病気、内科治療、外科治療を考えても厳しいでしょうね。帝王切開、第四胃変位だってダメなのも混ざってくる。うちは牛のプレート固定は大丈夫です。