アメリカ獣医師会雑誌、これは獣医学分野で十二分に評価の高い学術誌として認められ、合衆国のみならず世界中に多数の読者を持っているのだが、その雑誌に、Kansas州立大学からの馬の麻酔についての論文が載っている。JAVMA 229(5) 2006
Comparison of recoveries from anesthesia of horses placed on a rapidly inflating-deflating air pillow or the floor of a padded stall.
素早く膨らます・しぼませる空気枕か、パッドを張った部屋の床の上においた馬の麻酔からの覚醒の比較。
409頭の1歳以上の馬の麻酔の覚醒をランダムに、以前から使われているパッドを張った覚醒室と、素早く膨らませたり、しぼませたりすることができる空気マットの上で行って、最初に動き出すまで、最初に体を起こそうとするまで、最初に立とうとするまで、立ち上がるまでの時間を記録した。
空気マットの上に寝かすと、体を起こしたり、立とうとするまでより長い時間寝ていた。マットをしぼませると、馬はあきらかにより少ない回数の立とうとする試みで立ち上がり、立ち上がり方はより良好だった。
空気マットもパッドを張った床も麻酔の覚醒に同様に安全だった。
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この16×14フィート(4.27×4.8m)のマットと膨らませるためのファンは、$3,500だそうだ。
このマット(pillow;枕って書いてあるけど)は、カーニバルのアトラクションとか、消防のレスキューに使われるのと同じ物。
馬は膨らませたマットの上で沈み込んで、体を起こし にくい。そして、馬が安全に立てると判断したら、マットを素早くしぼませる。馬は体を起こすことができ、しっかりした床の上で立つことができる。
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左写真。
マットはダクトのついたファンで膨らませる(上)。
このようなジッパーが二つ付いている。開けると素早くしぼませることができる(下)。
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われわれの背骨である臨床獣医学は、机上で観念論をこねくりまわすものでも、数式だけで計算できるものでもない。
患者のそばに、ベッドサイドにいない者に、実践しない者にはその価値がわからない。
著者の一人Dr.Hodgsonの言葉。
”Recovery quality is a very important aspect of equine anesthesia.”
「覚醒の質は、馬の麻酔の非常に重要な局面である。」