馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

エンデュランス 二日目

2006-11-19 | How to 馬医者修行

Pb190016 エンデュランス2日目。

スタートは夜明け前。

Pb190017 右は暗いので夜景モードで撮った失敗写真。

スローシャッターになってひどくブレた失敗写真だが、なんとなく幻想的で、抽象画のようなので載せておこう。

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 獣医関門で、チェックをしていたら、1頭明らかな跛行を示していた。40km、60km、80kmという長距離、超長距離を走った馬は、疲れて、歩き方、走り方もおかしくなっている。

それは当たり前ながら、どこかの肢が明らかに痛いとなると、故障を悪化させないためにも競技を中止し手当てしなければならないし、競技の性格上失権としなければならない。

この日のために準備し、遠路参加した方には気の毒だが、失権とさせていただいた。

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 審判長であり、私の「馬」の師匠であり、永年馬術界に貢献してこられたK先生、大ベテランのU先生、きのうは出場もされたS先生の馬の見方、判断の仕方はたいへん参加になった。

獣医チェックの長~い合間にした、先生方との馬談義、馬術談義も興味深く、たいへん勉強になった。

馬の獣医師とは言いながら、自分がいかに、特定の年齢の、特定の目的のサラブレッドのだけを診ているのかを知らされた。

ドサンコ、あるいは種類の不明なエンデュランス用の馬たちの歩様は、出走前からサラブレッドの歩様とは違っている。

だいたい、体型から、蹄から、肢つきから違うのだから。

脱水を判断する方法の一つとして、皮膚テントの戻りを使うが、皮膚の厚さ、皮下脂肪、毛の質が馬の種類によって異なる。

口の粘膜の色は、日高のサラブレッドより薄い。ほとんど貧血色。というか、サラブレッドは特別赤いのだろう。

「馬」医者。を名乗る者としては知識、経験、技術の幅を広げたいと思う。Pb190024_2

そのことは、日常のサラブレッドの診療にも役に立つはずだ。

なかなかアウトドアな、良い二日間だった。