馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

エンデュランスの獣医師

2006-11-22 | How to 馬医者修行

 エンデュランス競技では、ただ速く完走すれば良いと言うわけではなく、馬が故障しないように気を使わなけPb190020 ればいけないし、馬を良好なコンディションでゴールさせなければならない。

その判定のために獣医師が関門にいてチェックする。

 しかし、獣医師のほうも、自らエンデュランスに出ている人や何年も係わっている人は別にして、結構戸惑うことが多い。

前にも書いた他、たくさん理由があるのだが、そのいくつかにまた気が付いた。

                          -

 学生の頃から、「いきなり聴診器を当てるんじゃない。飼い主と話をして、動物の全体像を眺めて、一般状態をつかんでから、聴診に入りなさい。」と習った。

しかし、エンデュランス競技では、獣医関門に入った時間が順位に影響するし、入った後に心拍が落ちていないようだと、その時間を認めずにしばらく時間を置いてからまたチェックしなければならない。

だから、獣医関門に入ってきたらできるだけ速やかに心拍だけでも数えなければならない。

私は真面目なので(冗談です)、いきなり聴診器を当てて心拍を数えるというのにはどうもとまどう。

                             -

 もうひとつ。

跛行している馬を診たら、診断して、治療したくなる。競技は問題じゃない。しかし、競技の審判としてはそれではいけない。

競技を続けられるかどうかが一番大事なことで、診断や治療を頼まれているわけではないのだ。

脱水している馬を診たら、休ませたくなる。別に輸液したいわけじゃないけど・・・・・・

判定するだけというのにはどうもとまどう。

                             -

 日頃、診療するときは、診断・治療を依頼されているので獣医師に診察を受けることが目的で来院したり、往診を待ったりしてくれているのだけれど、エンデュランス競技の時は違う。

ライダーやクルーは、できれば馬の異常を見つけて欲しくないし、競技を中止させられたりしたくないと思っているだろう。

そのへんの差も大きいかな?

                            -

Pb220031 朝は雨。Pb220034

午後からは強風。

海の荒れ方は・・・・なかなか見事だった。