馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

外科医 Surgeon

2006-11-17 | 人医療と馬医療

Pa300012 外科医の人形だそうだ。それも悪意あるいは批判を含んでいるようだ。

下の台にはドイツ語で「次、どうぞ!」と書かれている。

太い腕、知性を感じさせない姿、服は血で汚れていて、手には大きな刃物を持っている。

外科医にこのようなイメージを持っている人はいないだろう。と思う・・・・が・・・

しかし、刃物で体を切り開く外科医は間違えば、傷害・殺人に問われかねない。

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散髪屋の前に、赤と青のストライプがクルクル回っている看板があるが、あれは動脈と静脈を表しているのだそうだ。

昔は傷を縫うとか、体表のできものを切り取るとか、切開するなどの外科手技は、散髪屋さんがやっていたらしい。

散髪屋の看板は、ひょっとすると外科病棟のシンボルになっていたのかもしれない。

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 精神科医で作家である なだいなだ氏が、「医師の倫理と言うこと自体がおかしくて、一般の人と同じ倫理があるだけだ」と昔、書いておられた。

しかし、一般の人は臓器移植にも、対外授精や代理母にも、安楽死・尊厳死にもめったに直面しない。

その場に日常的にいる医師が難しい判断を重ねなければいけないのが現状なのだろう。

 病変を有する腎の移植の事件の真実はどこにあるのだろう・・・・・・・・

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 私は、自分では獣医外科医としては Conservative(保存的、保守的、消極的)だと思っている。

手術や麻酔はしないですむなら、しないに越したことはないと考えている。

ただ、やった方が望ましいとき、やらなければならない時は、躊躇せずやらなければならないことを経験してきただけだ。

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