真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
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生つば美人妻 妄想で寝取られて
竹洞哲也
/
2022年07月30日
「
生つば美人妻 妄想で寝取られて
」(2021/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小松公典/撮影監督:創優和/録音:植田中/編集:三田たけし/音楽:與語一平/整音:植田中/助監督:可児正光/監督助手:吉岡純平/撮影助手:赤羽一真/スチール:須藤未悠/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:神納花・辰巳ゆい・倖田李梨・七菜原ココ・あけみみう・栄川乃亜・イワヤケンジ・折笠慎也・細川佳央・森羅万象・石川雄也)。
戸建の玄関口から嬌声が聞こえて来るのに、カット跨ぐと連れ込みのベッドで辰巳ゆいが悶えてゐるのは、ピンク映画を主戦場とする脚本家・丸石智也(石川)が円盤に目を通す、過去に手がけたピンクの一幕。目下思ふやうに書けない不調に悩む智也が、溜息ついてタイトル・イン。こゝ、で。いきなり驚く勿れ呆れる勿れ、怒髪冠を衝く、勿れ。いや、レイジで被り物を突き上げるのはいゝ。結果的にアバンの束の間を豪快に駆け抜けて行く辰巳ゆいが、このビリングで下着までしか脱がない壮絶な不誠実。因みにハモニカを吹く相手役は、太股でガッチリ挟み込まれ識別不能。後ろ髪を見るに細川佳央かなあ、演出部動員でなければ。再びこゝで、こゝで使用されるDVDのパッケージは、竹洞哲也―は以下略―2018年第五作「
田園日記 アソコで暮らさう
」(脚本:当方ボーカル=小松公典/主演:白木優子)の、OPP+版でスターボードよりリリースされた「農家の人妻 長崎家の崩壊」。
以前は執筆にノッて来ると余勢を借り、お盛んであつた妻・朋子(神納)との夫婦生活も、ドミノ式に滞り気味。さして深刻にでもなく窮した智也は、この御仁が何で死なずに生きてゐられるのか何気に不思議な、ドロップアウトした先輩格の脚本家・関川(森羅)に相談を求める。
徒な頭数が淫らに膨れあがる配役残り、山内大輔2020年第二作「
つれこむ女 したがりぼつち
」(主演:桜木優希音)ぶりの七菜原ココと、役作りなのか派手な気紛れなのか、パンクスみたいに短く刈り込んだ折笠慎也は、智也の難航する新作『ガールズスケッチ』の登場人物・真紀と健也。主演女優を除くと七菜原ココが唯一、濡れ場らしい濡れ場を披露する。一応初の本隊作となるあけみみうと、国沢実2020年第二作「
性鬼人間第三号 ~異次元の快楽~
」(脚本:高橋祐太/主演:東凛)で、その点に関しては一歩先行する栄川乃亜は、智也が関川に見て貰ふ過去作中、シャワーを浴びがてら百合の花咲かせるカップル。この二人の、明らかに踏み込んで美しく撮られるシークエンスが矢張り束の間ながら、今作中僅かに、もとい最もエモーショナル。倖田李梨とイワヤケンジも過去作の登場人物、RiZぽい?居酒屋店内にて情を交す、女将と多分懇意の常連客。倖田李梨は、後背立位に突入する際尻までなら脱ぐ。関川の適当な発案による、朋子との交はりを意図的に断ち性欲を昂進させる“中学生作戦”の失敗を受け、次なる“プロジェクトNTR”に招聘される細川佳央は、関川・智也双方と近しい俳優部・山本タカアキ。最後にこゝで、倖田李梨から、七菜原ココを飛ばしてあけみみう・栄川乃亜・イワヤケンジまでが出演する智也過去作については、2017年第三作「
疑心乱交 闇夜にうごめく雌尻
」(脚本:当方ボーカル/主演:辰巳ゆい)のOPP+版、「柔らかい檻」のパケが使はれる。
もしかすると、今後加藤義一に離されて行く竹洞哲也を見る破目になるのかも知れない。そんな予感の起動する、2021年第一作。
筆の湿りに燻るピンクの脚本家が、頼つたのが土台話を訊く相手を間違へた感も否めない、人生ごと大雑把なパイセン。関川のへべれけな助言に従ひ、智也があれやこれや右往左往する艶笑譚。と、いふと。オールドスクールかストロングスタイルの量産型裸映画を、期待させなくもなかつた、にも関らず。軽やかさの中にも地力の強さを感じさせる、細川佳央がしなやかに飛び込んで来る“中学生作戦”から、“プロジェクトNTR”に移行する件で展開が偶さか弾むのが、精々のハイライト。最終的に、要は智也が勝手に拗れてゐただけの夫婦仲は、七十分の満了と同期するが如く、何時の間にかか何となく仲睦まじく回復。する反面、そもそもの発端ないし元凶であつた筈の、智也を悩ませる脚本家としての不振はケロッと等閑視して済ます、だらしなくないところのない関川に劣るとも勝らず、べろんべろんにへべれけなドラマツルギーには呆れ返つた。ただ、単に面白くない詰まらない、のみならばまだしも。小松公典は性懲りもなく十八番のつもりの、会話劇と称した無駄口に終始するうちに、即ちさんざ尺を空費した果てに。他とは一線を画する風格をも漂はせる辰巳ゆい―七年九本目―と、案外コンスタントに継戦する倖田李梨のベテラン勢に加へ、五十音順にあけみみう・栄川乃亜・七菜原ココが新進気鋭・ストリーム・アタックを放つ、豪華六番手まで擁する藪蛇に分厚い布陣にしては、穴のない二番手以降が逆の意味で見事に宝の持ち腐れ。神納花以外甚だ疎かに扱はれる、出来損なひの裸映画には直截に腹が立つた。起承転結の転で映画をブッた切らうともシュルレアリスムの領域に突入して支離滅裂であらうとも、竹洞哲也の師匠・小林悟は決して女の裸を蔑ろにはしなかつた。実は大御大よりなほ酷い気がしなくもない、珠瑠美でさへ常に綺麗処を揃へた三本柱の、絡みを少なくとも量的にはお腹一杯に見させた。終始上目遣ひで所謂アヒル口を尖らせる、神納花の甚だ甘たるい造形が琴線を逆向きに激弾きするのは、当サイトの極私的な選り好みにせよ。面白くなく詰まらなく、挙句乳尻も物足りぬでは、立つ瀬も縋る拠り処も何処にもない。寧ろ作家主義を気取つたソリッドにも欠けると来た日には、旧くはあれ別に良くはない、国映系の方がまだマシだつたとすら、思へかねないよくいへば問題作である、“よくいへば”の意味が判らねえ。
と、ころで。主演の神納花(ex.管野しずか)が、2018年第一作「
おつとり姉さん 恥骨で誘ふ
」(脚本:当方ボーカル=小松公典)以来、と振り返り、かけて。そのあとに一旦公開後、未だ謎の理由でなされた封印があらゆる形で解かれてはゐない、山内大輔2018年第三作「アブノーマルファミリー 新妻なぶり」があつたのを忘れてゐた。なので、十年八本目となる。神納花に改名後出演作を三本撮つた、荒木太郎が大蔵から空前絶後に梯子を外された、
「ハレ君」事件
は執拗に覚えてゐるけどね。
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