暴走


LEICA X1

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10数年前の話なのだが、会社に米国製の新しい機械が導入された。
それがある日突然暴走をはじめた。
レール上を移動するパーツが、いきなり全開ですっ飛んでいき、端にあるリミットにぶつかって凄まじい音をあげたのだ。
そのまま止まろうとしないので、ガンガンと何度もぶつかり、大音響が連続して工場に響き渡る。
当然オペレーターは腰を抜かさんばかりに驚いた。

その暴走が、毎日のように発生した。
一度電源を切りリセットすれば収まるのだが、暴走の原因がまったくわからず、メーカーの技術者も頭を捻っていた。
しかし何度か起こるうちに、どうやら発生時間に法則性があることに気付いた。
たいてい夕方5時を数分過ぎたところで発生するのだ。

それで疑い出したのが、原因は機械本体ではなく、外的な要因にあるのではないかということであった。
すなわち電源である。
5時少し過ぎ・・というところがヒントとなった。

想像される原因を電力会社に話したが、最初のうちは半信半疑でとりあってくれなかった。
だが、そろそろ起きますよ・・と予言したところで、実際に発生するのを見て、彼らも納得したらしく本格的に調査を開始した。
事務所の一室を開放して、数人の技術者と機材が運び込まれ、電源の波形を監視した。

すると案の定、5時を少し過ぎたところで、ドーンと凄まじいノイズが乗り、波形が大きく乱れることがわかった。
それが機械のコンピューターに入り込み、制御系を狂わせて暴走させていたのだ。

恐らくどこか近所の工場で、5時で操業時間が終わり、電気を食う大きな機械の電源をバチンと落とすのだろう。
その瞬間盛大にノイズを発生し、電源を通じて波形の乱れが周辺の家々を襲う。
一般家庭の電化製品ではそれほど大きな問題にならなくても、精密な機械を置く工場ではそうはいかない。
そういう環境を想定していない米国製の機械などがやられてしまうのだ。

それがわかるとすぐに、電力会社は対策を講じた。
会社に来ている電源ラインを別のルートに変更したのだ。
時折発生するトラブルなのか、比較的対処に慣れているようで、作業は即座に実施された。
それでピタリと暴走は消えた。
ノイズの発生源である会社も、電力会社はどこであるか掴んでいるようであったが、それについては教えてくれなかった。

ここで問題にしたいのは、その電源のラインの変更という対処である。
実に簡単に行われたが、そういうことが今までに日本中で行われており、末端がどこにつながっているか、把握できなくなっているのではないだろうか?
計画停電の当初の混乱ぶりを見ると、そんな気がしてならない。
新しい住宅が出来れば、住所の区分は無視して一番近いところから電源をひくだろうし、長年そういうやり方が続けば、何が何だかわからなくなるだろう。




今日の時計は、スイス・ミリタリーのクラシックML-284に、モレラートのドナテロのバーガンディを組み合わせたもの。
このクォーツ式クロノグラフは、前々からデザインに癖が無くていいなと気になっていた。
白地に赤い国旗というのも、清潔感があっていい。

しかし価格が安いので、品質はそれなりのモノなのだろうと想像していた。
買ってみたら、やはりそれなりのモノであったが・・・(笑)
カン幅もポピュラーな20mmで、いろいろなベルトとの組み合わせが考えられるデザインだ。

モレラートのドナテロは、サドルレザーを使用した上品な形状のベルトで、エンドピースの手前に入ったステッチが特徴。
実は赤い色のベルトがどうしてもひとつ欲しくて、それに合う時計を探した・・というのが実情だ(笑)
ところが赤いベルトに合う時計なんて、そう簡単にあるものではない。
スイス・ミリタリーの時計は、同じ赤い色のスイスの国旗が小さく入るので、それが共通項になって、案外違和感の無い組み合わせになった。
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