マルモラーダ

D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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マルモラーダのFG105.010。
コロラート染色を施したグレーのスエード。
サイズは40。



マルモラーダは言わずと知れたトレッキングブーツの最高峰のひとつ。
イタリアのフラテッリ・ジャコメッティの作ったマウンテンブーツである。
最高峰のドレスシューズを作るメーカーが、創業の地イタリア・ベネト地方から登山靴メーカーが消えていくのを憂いで、自ら作り始めたというブーツである。
当然ドレスシューズの高度な技術が導入されており、山に履いて行くのを躊躇するような高級で手の込んだ作りになっている。

マルモラーダはコードバン、エレファント、オーストリッチ、アザラシといったエキゾチックレザーを使った製品がラインナップの主流を占める。
素材を見ても、究極の街履き用ブーツとして作られていることがわかる。
その中でこの製品は普通にスエードを使用している。
しかしその仕上げ方が尋常ではなく、グレーのスエードをベースにダークブラウン、オレンジ、ブラックといったカラーを、同社らしくコロラート技法で乗せるという凝りに凝った仕上げになっている。
お店にあったコードバンのモデルとどちらにするか大分迷ったが、今回は通好みのスエードを選ぶことにした。



多色使いのため照明の当たり方で様々な表情を見せてくれる。
実は店頭では濃いブラウンのスエードに見えた。
グレーがかったブラックのモデルもあって、散々悩んだ上でブラウンの方を選んだ。
ところが自宅に戻って箱から出すと、どう見ても濃いグレーに見える。

これは店員さんが間違ってブラックの方を包んだか・・と思った。
すぐにお店に電話して伝えたが、箱に書いてある品番を言うとそれで間違いないという。
お店の照明下では違う色が浮き上がって見えたようだ。

トゥとヒール部分はバフ掛けしてスエードの起毛を潰した仕上げになっており、その部分が金属的に光をキラキラと反射する。
写真はストロボを焚いて撮っておりグレーに写っているが、自然光ではこの色にわずかにブラウンが乗って見えることが多い。
黒系でもあり茶系でもあるという、不思議な色ではあるが、派手過ぎることも無く、かえって服装に合わせやすいかもしれない。



サイズは40を選んだ。
お店ではひとつ下の39と並べて何度も履き比べた。
僕の足は日本サイズで25Eくらいである。
マルモラーダの場合、40だと緩く39だとタイトになる。

40だと歩行時に足が多少前後に動くように感じる。
細めの木型のようで、幅はタイトだが指周りはかなり余裕がある。
一方39ではスッポリと硬い入れ物にはまったような感触で、長さ方向が短めで前のめり感がある。
たまたま厚手の靴下を履いていたこともあるが、頑丈なビブラムのソールをベースに強固に作られているので、スキー靴に足を入れたような窮屈さを感じる。
足の先端に余裕が無いので、39はちょっと厳しいかな・・と感じた。

お店の人とも話し合ったが、山登りに行くなら39の方も考えられるが、街履きなら40が適切だとアドバイスを受けた。
普段使いの靴は、足に合うまで我慢するようなガチガチのものにすべきではない、という考え方だ。
さらには僕も常に言っていることだが、ブーツは足周りは緩めにして足首で固定する履き方がいい・・とも言われた。
そこで厚手の靴下と組み合わせることを前提に、40の方を選ぶことにした。
それでも余裕があるなら、インソールも試してみるべきであろう。

実際その後ペダックのインソールを入れてみたが、これがドンピシャリ。
足が動くことがなくなり、靴紐をしっかり締めると、程よく食らいついてくれる。
履き始めからほとんど違和感が無く、半日もすると馴染んで快適な履き心地になってきた。
クッション性のある厚手のライニングが効いていて、よくブーツにあるように紐で締めた足首の辺りが当たって痛くなる、ということがない。
手持ちのブーツでは安藤製靴のZⅡの履き心地に似ていて、細身のベースの上に足が固定されたような感触がある。



実はマルモラーダはずっと欲しかったのだが、価格が価格なので実際に買う段になると候補から外れていた。
昨年末にダナーを買った時も、安藤製靴、パラブーツのマウンテンブーツを候補に挙げたが、マルモラーダは考えなかった。
つい最近も行きつけのお店で、いつかマルモラーダを買いたいと話したばかりであった。
ところが数日前、新春セールで安く出ているのに遭遇してしまい、急遽その「いつか」がやってくることになった。

買ってみてやはりさすがと思った。
素晴らしい靴である。
ガッチリとしてはいるのだが、履いていてドレスシューズのようなしっとりとした柔らかさが伴うのだ。
ブーツ好きはこの靴を買って損はないと感じた。
これは愛用の一足になりそうである。
マルモラーダは何足か揃えたくなるブーツだと読んだことがあるが、正直その通りだと感じている（笑）