水ナス


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先日親戚から水ナスをいただいて食べた。
大阪のお店から取り寄せた水ナスで、とても美味しい。
昔からここのお店の水ナスが一番好きだ。

久しぶりで美味しかったと親戚に言ったところ、最初はウチから貰ったのだという。
え・・そうなんだ・・・
それが美味しかったので、あちらも取り寄せるようになったのだそうだ。
我家がしばらく取り寄せていなかったのに、あちらは継続して購入しており、逆にそれをウチに分けてくれたのだ。

最初にこの水ナスを食べて、こんなに美味しいものなんだ・・と驚いたのは、もうかなり以前のことだ。
恐らくウチも、誰かからいただいたのだろう。
家族に聞いてみると、確か一番最初は、仕入先の大手鉄鋼メーカーのTさんからいただいたのだという。

あっ、そうか・・・そう言えばそんな事もあったな・・・
考えてみれば、もう25年くらい前のことだ。
四半世紀か・・・
すっかり忘れていた。

Tさんはかなりのグルメで、美味しいものに目が無かった。
かつて鉄は国家なり・・と言われた時代があり、それ以降も長く生産の基本は鉄鋼・・という時代が続いた。
僕が子供の頃でも、その分野に一流大学卒のエリートがこぞって入っていた。
そのためか、業界に独特の雰囲気があり、大物感の溢れる人たちがゴソッと揃っていた。

Tさんもまさにその時代の人で、生活にも余裕があったのか、いろいろなものに一家言持っていた。
食べ物には特にうるさくて、美味しいものについて熟知しており、うんちくを語り出すと止まらなかった。
食べることへの情熱は凄まじいものがあった。
時に出先の食事で美味しくないものに当たると、あからさまに嫌な顔をするので、あんな態度をとらなくてもいいのにと、批判する人もいた。

その後そういう時代が終り、鉄鋼関連の企業も再編されていった。
Tさんの会社もどこかと合併されて、追いやられる立場になってしまった。
時折、Tさんはどうされただろう・・と話題が出るのだが、もう15年以上お会いしていない。
今まだお元気だとしても、相当の高齢のはずである。

面白いもので、水ナスでTさんのことを何年ぶりかで思い出した。
Tさんとのお付き合いは途絶えたが、水ナスはこうして今でも食べている。
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