D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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僕が子供の頃、1999年に何が起こるか・・という話がよく話題にのぼった。
もちろん1999年より大分前の話である。
1999年に人類が滅ぶという内容の本がベストセラーになったためだ。
その日がやがてやってくるのだから、当然多くの人が気にしていて、テレビや本で何度も話題になった。

その当時雑誌で、1999年に何が起こると思いますか・・という質問があった。
人類が滅ぶのだとしたら、具体的に何が原因で滅ぶと思うか・・という問いである。
まだ四半世紀ほど間があったので、案外気楽にそういう話が出た。
これに対し、ある芸能人が次のように答えたのを読んだ。
「嘘がすべてばれる」

これはもちろん冗談として書いた回答である。
嘘がすべてばれてしまうと、それだけで人間の社会は崩壊するという、なかなかブラックの効いたジョークである。
しかし今になってみると、案外本当なのではないかと思えてくる。
人類が滅ぶわけではないが、この世から嘘というものが無くなる日がくるかもしれない。

AIの発展に伴い、人類は歴史上最大の変革を体験すると言われている。
このまま理想通りことが進めば、人間の社会は政治も経済も宗教も、すべての運用をAIに任せる日がくる。
そして人類は史上初めて労働という奴隷制度から解放されることになるのだという。

人間が上に立つと必ず欲得が絡み、正しい判断が出来なくなる。
理想に燃えた革命家のリーダーが、やがて独裁者に変わる姿を、我々は何度となく目にしてきた。
不完全な生き物である人間には、特に情報に溢れたこれからの世界を運用していくのは無理であろう。
人間より処理能力が高く、公正で正確な判断を下せるAIに管理させるしかなく、それによって初めて理想社会が実現するのだという。
そうなると当然人間そのものも大きく変わらざるを得なくなる。

嘘とは真実とは違う情報を与えることだ。
自分に都合のいいように物事を進めたり、人に自分を良く見せたり・・というように、嘘をつく理由には、人間のどろどろとした感情が絡んでいることが多い。
裏で悪事を働きながら、表ではいい人を演じて生きていくのも、嘘で固められた生き方と言えるだろう。
一方で何とかして人を救おうとしたり、物事を上手く収めるために、やむなくつかれる嘘もある。

しかしAIが管理する社会で、そういう原始的な方法が通用するとは思えない。
真実を真実として認め、何をするのがベストであるかを探る方向に行くに違いない。
そのためには、人間が過去にとった行動を徹底的に調べて解析することが必要になる。
過去につかれた嘘はすべて暴かれ、嘘をついた理由も細かく調べられるだろう。

国家的な嘘、たとえば暗殺、裏金などの犯罪は、表沙汰に出来なかった真実がすべて暴かれてしまう。
今から罪を償わせようと言うのではなく、人間という生き物の行動を理解するため調査である。
人間のとる行動のすべてを理解した上でないと、今後の世界を予測できないからだ。

AIは高速でいくらでも計算できるので、調査は個人レベルにまで及ぶことになるだろう。
たとえば普段大人しそうに見える人が、インターネット上の掲示板などで、匿名である事を利用して他人を激しく攻撃していたとする。
これなどはログを解析すればたちまち個人を特定できるので、AIにとっては格好の調査対象になる。
その人物がとった行動として個人のファイルに書き込まれ、記録は永遠に残ることになる。

結局今までの人間は嘘をつくしかなかったのだ、人間とはそういうものだ・・という分析結果にはなるだろう。
しかし調べる方も嘘偽りなくその情報を開示しなければ矛盾が生じる。
もしかするとそれらのデータはネット上ですべて公開されて、その人物について知りたい時には、いつでも見ることが出来るようになるかもしれない。
そんなことになったら、生きていけなくなる人も大勢いるはずだ。
肩身の狭い思いをしないためには、あまり酷い嘘はつかない方がいいと思うよ・・という、これは忠告である(笑)
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