酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

ハードな週末PART2~「チェルノブイリ30年」&「アニマルハッピー」

2016-04-28 12:07:28 | 社会、政治
 週末から今週にかけ、イベントが相次いだ。アラカンになると、人並みに仕事をしているだけで疲労がたまる。週半ばで既にヘロヘロ状態だ。

 23日は「チェルノブイリ30年・福島5年救援キャンペーン~小出裕章講演会&チャリティーコンサート」(練馬文化センター)に赴いた。チェルノブイリ子ども基金と未来の福島こども基金の共催で、広河隆一氏(DAYS JAPAN元編集長)が発起人であるチェルノブイリと福島関連の保養施設運営にそれぞれ関わっている。冒頭で、両代表から現状報告があった。

 続いて吉原りえ(フルート)と新垣隆(ピアノ)のチャリティーコンサートが催される。メンデルスゾーンの「春の歌」やドビュッシーの「月の光」といった名曲に加え、ユーモアのセンス抜群の吉原、ゴーストの件で有名になった天然ボケの新垣の2人のやりとりにも心が和んだ。

 休憩後、小出裕章氏が壇上に現れる。事故直後、福島原発で起きていたことを明示し、<東京どころか日本が地図から消えても不思議ではなかった>と語る。チェルノブイリで起きた被曝、健康被害が福島で起こり得ること――既に進行中だが――を、数字を挙げて説明していた。福島では、ウクライナやベラルーシの立ち入り禁止区域以上に汚染された場所で、人々は以前のまま暮らしている。

 原子炉を管理していた小出氏の言葉には説得力はある。3・11直後の講演会で小出氏は、「私たちが無力だったため、原発を止められなかった」と頭を下げた。自身、そして聴衆の多くを占める中高年層は、原発をストップできなかった罪を共有している。だが、何の責任もない子供の肉体は、今も放射能に蝕まれているのだ。<この酷い現実から目を背けず、子供たちを守らなければならない>と、いつもに増して熱いトーンで小出氏は語っていた。

 チェルノブイリ30年の当日(26日)は「第9回オルタナミーティング~講談とチンドンが世界を変える!?」(オルタナプロジェクト主催、阿佐ケ谷ロフト)に足を運ぶ。3月26日の反原発集会ではブースを出店し、イベント告知と物販に協力した。ジンタらムータのライブ、神田香織の講談、神田と木田節子さんのトークセッションの3部構成だった。

 ジンタらムータはオルタナミーティング2度目の登場で、前回は大工哲弘(沖縄民謡)との共演だった。クラリネットと打楽器の編成だが、他のプロジェクトと並行して活動しており、当夜も2人がサポートしていた。ジンタらムータは雑食性、無国籍風で、漂浪するロマの楽団を彷彿させる。クラシック、タンゴ、民謡などをごった煮し、憂愁と笑いに溢れた音楽を紡いでいる。吉原りえと新垣隆のコラボとジャンルが異なるが、ジンタらムータとは共通点がある。メッセージを掲げつつ、音楽本来の楽しさが前面に出ていることだ。

 神田の一席は、チェルノブイリ被災者の証言集でノーベル文学賞を受賞したアレクシエービッチ(ベラルーシ)の原作をアレンジした「チェルノブイリの祈り」だ。事故直後、発電所に招集された消防士とその妻が軸で、放射能の恐ろしさが伝わってくる。反原発を訴える演目だが、それ以上に夫妻の互いへの思いが胸を打つ。生と死の境界で現出した〝至上の愛〟の物語だ。俺は神田にパティ・スミスを重ねていた。ともに俺よりも年上だが、意志と表現への希求で神々しく輝いている。

 木田さんの言葉が心に響く。小出氏が憂慮したことが周辺に起き、アピール訴えようとした木田さんに有形無形の圧力がかかる。政府や自治体、そして「放射能は子供たちの疾患とは無関係」とうそぶく七三一部隊の系譜に連なる悪魔たちだ。日本人特有の集団化、お上への従順さも壁になって、木田さんの前に立ちはだかる。拳を握り締めている人は多いのに、かき消され気味であることは否めない。両イベントに参加した人たちを微力ながらも繋げていけたら……。俺はそんな風に考えている。

 24日にはアニマルハッピー!連続講座第1回「動物福祉・生物多様性とは?」(高井戸会議室)に参加した。苦手な分野だが、俺は話したがり屋だ。的外れの質問をしたことを悔やんでいる。テーマは食や環境の問題にも連なる。世界を変える前に自分を変えるという姿勢が窺える参加者の多くは、菜食主義者であったり気候変動の問題に関わったりしている。彼らの目に、いい加減な俺はどう映るのだろう。

 生物多様性という言葉を知ったのは、別稿で記した「脱成長ミーティング」の際だった。「脱成長」そして「生物多様性」……。自分の無知を日々実感する俺だが、新たな視点を知り、学ぶことができた。感性が鈍りつつある俺だが、刺激してくれる仲間が数多くいる。


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