酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

不気味なほど静かな革命~帰趨が決した総選挙

2009-08-22 05:35:19 | 社会、政治
 残暑は厳しいが、ニュースが涸れることはない。世界に衝撃を与えたのは世界陸上だ。30秒足らずで半世紀分の進化を見せつけたボルトは、まさしく〝ひとりタイムマシン〟である。

 辺見庸氏がETV特集で<パンデミック=感染爆発>を甦らせて半年余、新型インフルエンザの蔓延が深刻になっている。90年前に猛威を振るったスペイン風邪(死者5000万人)の再現にならぬよう願うばかりだ。

 総選挙投開票まで10日と迫り、朝日、読売、日経が相次いで「民主党300議席」と報じた。さらにショッキングなのが毎日の数字で、<民主318~330、自民68~108>ときた。小泉純一郎監督/主演の「郵政一点突破」から4年、小沢一郎脚本/制作の「政権交代」が熱烈な支持を集めている。

 ワイドショー政治と揶揄されるが、選挙報道に勝るエンターテインメントはざらにない。例えば<悪代官VS可憐な姫>の構図になった石川2区……。キングメーカーの森喜朗元首相を追い詰める田中美絵子候補に、大抵の男はノックアウトされるだろう。イケメンと美女が目立ち過ぎるきらいはあるが、国民の多くは〝ひとり水戸黄門〟の気分を味わっているに違いない。

 自民党が100以下の議席に落ち込めば一種の革命だが、底にあるのは格差拡大が招いた国民の左傾化だ。広瀬隆氏は「資本主義崩壊の首謀者たち」で、<貧困とは貧しさとは違う。日々の糧を手にすることなく、生きる手段もなく、相談する友も、一縷の希望もない状態>と記していた。失政により厳しい貧困が蔓延する日本で、1868年、1945年に次ぐ地殻変動が生じるのは当然ではないか。

 韓国や台湾が数十年に一度の変化を迎えたら、若者たちは大掛かりなデモンストレーションを展開するはずだ。不気味なほど静かな日本は、街角の騒がしさと投票行為は無関係なのかもしれない。抗議活動が全国で展開していた1970年前後も、衆院選では自民党が圧勝していた。

 無力感に苛まれている若者と対照的に、俺より上の世代は一様に怒っている。勤勉に働き続けて迎えた老後、年金のいい加減な管理が発覚するわ、医療制度は崩壊の危機に直面するわ、故郷は疲弊するわ……。農業を犠牲に輸出依存型の産業構造をつくり上げた結果に、国家への信頼も消えた。「私たちの50年を返してくれ」と叫びたくなる気持ちもよくわかる。

 直近の都議選で認識を新たにしたが、一票の意味が大きくなっている。理由不明(ゼネコンとの癒着?)の築地市場移転は白紙撤回だし、五輪に落選して予算が正しく使われることを期待している。流れに乗って非自公の知事が誕生すれば、教育現場における北朝鮮並みの言論封殺にもピリオドが打たれるだろう。

 格段に重くなった一票を、選挙区では民主党候補、比例区では社民党に投じるつもりだ。政権交代で刺激を受けた若者たちが、少しでも閉塞感から自由になることを切に願っている。





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