酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

CSI、モンク、臨場~テレビ大好き中年の独り言

2009-06-23 00:41:01 | 映画、ドラマ
 不況の折、花火大会の中止が相次いでいるという。日本人が花火に惹かれるのは、それぞれのささやかな夢が光の輪に重なり、生の輝きと儚さを一瞬で体感できるからだ。資金難なら派手な仕掛けはやめ、昭和の薫りがするレトロな花火大会を演出すればいいと思うのだが……。
 
 さて、本題。今回のテーマはテレビドラマだ。

 吉本隆明氏は40年以上前、<私ほどテレビを見ている男はいない>と記していた。聖徳太子クラスの氏のこと、テレビで大衆の意識の在り処を探りつつ、ペンをサラサラ走らせていたのだろう。

 大凡才の俺もまた、テレビ視聴時間は男性トップクラスだ。02年にはドラマもラインアップに加わり、同年スタートの「CSI科学捜査班」(WOWOW)と「相棒」(テレビ朝日)、04年スタートの「名探偵モンク」(衛星2)は現在も欠かせぬアイテムになっている。

 俺の中の<アメリカ人=能天気>という偏見を壊してくれたのが「CSI科学捜査班」だ。アメリカの闇と病理を抉り、胸に染みる人間ドラマは全米NO・1の視聴率を誇る。生々しい解剖シーン、ミイラ化した遺体、腐乱した内臓に巣食うウジ……。日本なら抗議殺到で放送中止に追い込まれる番組を、アメリカ人は家族揃ってピザを頬張りながら見ている。

 アメリカの若者は、人間が肉塊に変わる場面を戦場で目撃する可能性がある。いや、自らが物言わぬ骸になっても不思議ではない。戦時の国(アメリカ)と銃後の国(日本)では、〝残酷さ〟〝清潔さ〟〝人間らしさ〟の捉え方が根本的に違っているのだろう。

 放映中の「CSI――」第8シーズンは噂されるメンバー交代に向け、ダウナーなトーンが濃くなる一方だが、スピンオフ「NY」はシーズン3後半からの高揚感を維持したままシーズン4を終えた。鑑識官としての本分に忠実なグリッソム(本家)と対照的に、「NY」ではテイラーを筆頭に積極的に捜査に加わっている。アクティブを前面に、本家との差別化を図ったことが吉と出ているようだ。

 直感と観察力で勝負するのが「名探偵モンク6」で、アナログ中年男の推理は冴え渡っている。今シーズンも「100回目の罠」など秀逸なエピソードは多いが、俺は邪まな角度から番組を楽しみにしている。モンクの2代目アシスタント、ナタリーにぞっこんなのだ。〝清楚なアラフォー〟なんて存在するはずがないとお考えの方は、ぜひ現物を見てほしい。ちなみに、ナタリーの娘ジュリーを演じるのは。往時のブルック・シールズを彷彿させる麗しきティーンエイジャーだ。
 
 「相棒」以降、テレビ朝日の<水9>を惰性で見るようになった。出色だったのは昨年7~9月に放映された「ゴンゾウ」(全10話)で、雨の夜の銃撃事件の真相が、過去と現在をカットバックしながら明かされていく。緊迫感は「相棒」以上で、野性と情を表現する内野聖陽の熱演も見事だった。

 今年4月に始まった内野主演の「臨場」は「CSI」同様、鑑識と検視を扱うドラマだが、上述したような目を背けたくなるシーンはない。横山秀夫原作のテレビドラマはTBSの専売特許だったが、コンパクトな「臨場」も見応え十分で、あす(24日)の最終回が楽しみだ。

 「俺のとは違うな」「根こそぎ拾ってやれ」など印象的な台詞を吐く倉石は、一個の死体を通し、悲しき性、愛憎、葛藤を摘出していく。解決後に現場を訪れ、死者の無念に向き合うラストが印象的だ。孤独な変わり者を演じればピカイチの内野とは、来年「ゴンゾウ2」で再会することを期待している。


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