酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

スポーツ紙の未来~アナログ回帰が生き残る道?

2009-06-08 03:11:55 | 戯れ言
 月刊誌が相次いで廃刊になるなど、出版界も不況に喘いでいる。朝日新聞社は先月、夏のボーナス40%減を組合側に提示した。背景にあるのは広告収入の大幅減である。

 一般紙以上に厳しいのがスポーツ紙で、広告減と部数減のダブルパンチを食らっている。W杯南ア大会は各紙にとってV字回復に向けた戦場だが、時差がネックになるかもしれない。欧州のゴールデンタイムに試合が開始されたら日本では早朝になり、結果として夕刊紙を利することになるからだ。

 俺の10代はプロ野球とともにあった。通っていた男子校では阪神ファンと巨人ファンが拮抗していて、教室での話題の中心は野球だった。俺は当時、熱烈な巨人ファンで、〝バイブル〟報知新聞で感動を追体験していた。

 スポーツ紙は現在、感動伝達より情報提供に重きを置いている。メルクマールになったのは、俺が現地で体験した<10・19>だった。川崎球場を舞台に展開した痺れるドラマを等身大で伝えたのはテレビで、翌日のスポーツ紙は阪急身売り、西武優勝に大きなページを割いていた。

 スポーツ紙に悪材料は事欠かない。欧州サッカーやMLBの結果は夕方から夜にかけてのニュースで繰り返し報じられ、翌朝には賞味期限が切れている。一般紙はここ数年、スポーツ欄を質量ともに充実させており、コンパクトながら的を射た分析に触れることも少なくない。

 スカパーの普及により、特定の分野に関心を持つスポーツファンが増えている。海外サッカー&ラグビー、NFL、NBA、各種格闘技のファンは、百貨店的なスポーツ紙に期待しない。彼らの主要な情報源はインターネットで、速報性と読み応えを重視し、内外のHPにサーフィンしている。

 春秋のG1シリーズはスポーツ紙にとって書き入れ時だが、肝心の競馬ファンが高齢化している。新機軸を打ち出したのが東スポだ。POG参加者を意識した作りで特集号まで発刊し、週末版ではほぼ全レース、馬柱を掲載している。朝刊各紙の読者をかなり奪ったのではないか。

 「おくりびと」の大ヒットや「相棒」人気を考えると、日本人の感性は変わっていない。感動をアナログに伝える方向にシフトチェンジするのも一つの手だと思う。題材として最適なのは、地上波から追われたものの、スポーツとしての面白さに変わりはないプロ野球だ。ウインウインどころか心中の危険性もあるが、ピンチの時こそ原点に回帰するべきだろう。

 スポーツ紙は夕刊紙に比べ、大衆迎合的でおとなし過ぎる。読者を刺激し苛立たせる毒、<流行は俺たちがつくる>という気概や傲慢さも必要だ。大胆な手を打ち、内容充実と部数アップに繋げてほしい。






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