閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

神様の秘密

2007-01-10 08:48:10 | 日々

どんど焼きの話で、ひとつ忘れていました。
火をつける前に「サイノカミサンの石」を入れること。

田んぼのあぜ道の端っこに小さい祠がありまして、
その中に石がひとつ祀ってあります。
それがサイノカミサン。
サイノカミサンという神様にお供えしてある石なのか、
石そのものがサイノカミサンなのか、
そのへんは誰に聞いてもよくわかりません。
漬物石くらいの、一見何の変哲もない普通の石。
それをお借りしてきて、おんべと一緒に燃すのです。
しかも、借りに行くのは、必ず男子でないといけないの。
火が消えたあとで返しに行くのもね。

ちょうどわたしが役員さんだった年のこと。
どんど焼きが終わって、数人で後片付けをしていました。
燃えかすを置いとくと万一の火事が心配なので、
シャベルですくって田んぼの脇の川に捨てていたのです。
そうそう、サイノカミサンを返してこなきゃ、と思って、
「石を間違えて捨てないでくださいねー」と声をかけたら、

「えーっ? 石、いるの? オレさっき捨てちゃったよ」。
その人、初参加のお父さんで、石のこと知らなかったのね。
さあ大変。あわてて川に下りて、石探しです。
でも、もともと川にごろごろあるような普通の石だから、
どこへ行ったかわからない。それにもう夕方だし…。

しばらくして、
「あったぞー! これだこれだ。ほら、焦げてるよ」
とMの声。(そう、この人も片付けを手伝っていたのです)
「おお、よく見つけたねー」「よかったよかった」と
石を祠におさめて、行事は無事に終了しました。

翌年のどんど焼きのとき、
「あれ? なんか石が小さくなってない?」
というささやき声が聞こえましたが、
「毎年使ってると減るんだよね」と誰かが言って、
「割れたりもするしね」と別の誰かも言って、
みんな、そうそう、とうなずいていた。
真実は神様だけが御存知。

コメント
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