閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

丸餅、切餅(つづき)

2007-01-15 08:35:15 | 

鏡開きも過ぎたというのに、しつこく続けている、お餅の話。
今年の閑猫堂は、なんとなく、民俗学傾向?
お餅のことも、どこかでちゃんと研究している人がいて、
調べれば正しいことがわかるのだろうと思うけど、
自分で推理してみるのも好きです。
(以下はわたしが勝手に考えた「仮説」なので
そのまま信じないように!)

そもそも、お餅は、丸かった。
「丸める」というのは道具を使わず人の手だけでできる
いちばんシンプルで原始的な形です。
とくに神様にお供えする鏡餅は
「鏡」というくらいだから、本来は丸いはずである。

丸い鏡餅のバリエーションとして
「丸くてひらたい鏡餅」つまり「円形ののし餅」が
おもに東日本に存在した。
(と強引に仮定する)

鏡餅が大きければ大きいほど、
こんもり丸く高くきれいに作るのは難しいのよ。
どうしても重みでひろがってしまうのです。
じゃあ、いっそのこと、ひらたく作っちゃえ、とか。
または、ひらたいほうが少ないお餅でも大きく見える、とか。
もしかしたら、お米の質にも関係があるかもしれない。
その地方のお餅は柔らかくてダレやすかった、とかね。

さて、丸くてひらたい大きな鏡餅を食べるには
切らなければなりませんが、どう切るか。
ピザみたいに放射状に切るんでなければ、
(いや、それも面白そうだけど、ひとまず除外して…)
タテヨコに切り分けるのがふつうでしょう。
包丁で「丸く」は切れないですからね。
タテヨコに切ると、外周部分はカーブがつくけど、
あとは正方形または長方形になります。

こうして「丸くてひらたい鏡餅」を供える地域には
「四角い切餅」を食べる習慣が定着した。

一方、上方(西日本)の鏡餅は厚いので切りにくい。
あれは「割る」しかないでしょう。
そのため、お供えとは別に、食べやすい小さい丸餅を
たくさん作る習慣ができ、そのまま現在に至った。

時代が進み、地方文化の交流がおこなわれる中で、
上方の「こんもり高い鏡餅」が東日本にも広まった。
あっちが本式らしいぞ、ということで、
「丸高鏡餅」が全国的に普及し、「丸平鏡餅」は姿を消した。

しかし「丸くてひらたい餅を四角に切って食べる」という
お正月の風習だけはそのまま残り、

その「丸くてひらたい餅」が量産される過程で、
より扱いやすいように「四角くてひらたい餅」に変化し、
長方形の「のし餅」を経て「パック切餅」の発明に至った。

ゆえに東日本では
お供えとしての「丸い鏡餅」と
食べものとしての「四角い切餅」が共存するのです。
Q.E.D.
ご清聴ありがとう。(拍手)

…仮説ですよ、仮説。
論争ができるような根拠はないですから、
ご質問、異議、反論の類はご容赦を。


しかし、
「下が丸で上が四角のハイブリッド鏡餅」の謎は
いまだ解けておりません。
うーん、「前方後円墳」ではあるまいしねえ。
Kと小中学校で同級だった子のお家なのです。
こんどお母さんに会ったらぜひ聞いてみたい。

コメント
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