弁理士の日々

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鳩山官邸の最近の様子

2010-01-07 21:40:49 | 歴史・社会
藤井財務大臣が健康問題で辞任し、後任が菅直人副総理に決定したようです。政権発足からわずか100日での財務大臣交代ですが、政権運営は今後どのように進展するのでしょうか。

1月5日の日経朝刊に、「鳩山政権の研究 政のような官のような 1」『かすむ「官邸官僚」 調整役は「元役人議員」』という記事が載っています。忘れないようにメモしておくこととします。

首相官邸の主な「官僚」スタッフの図が載っています。
p.s.折角なので政務官房副長官を追加記載しておきます。
首相
 ├官房長官
 │ ├官房副長官(事務)滝野欣弥(総務省71年)
 │ │ └官房副長官補
 │ │   ├福田進(財務省71年)
 │ │   ├林景一(外務省74年)
 │ │   └西川徹矢(警察庁72年)
 │ ├官房副長官(政務)松野頼久(衆院)
 │ └官房副長官(政務)松井孝治(参院)
 └政務秘書官 佐野忠克(総務省69年)
   事務秘書官
     ├羽深成樹(財務省81年)
     ├安藤久佳(経産省83年)
     ├吉田尚正(警察庁83年)
     └山野内勘二(外務省84年)

しかし、官邸で存在感を持っているのは上記の官僚ではなく、通産官僚出身の官房副長官、松井孝治だそうです。
『首相執務室と同じ官邸5階にある松井の部屋には財務省や総務省など幹部の訪問がひきもきらない。日航再建以外にも、予算編成を巡り省庁間で対立する案件は松井のところへ持ち込まれた。鳩山との面会階数は確認できただけでも100日間で30回を超す。』
省庁にまたがる案件を調整する役目は、昔は事務官房副長官の役回りでしたが、鳩山政権ではその役目を松井が果たしています。事務官房副長官である滝野が100日間で鳩山に面会したのは数回にとどまります。

事務官房副長官の存在感が急速になくなった理由は、事務次官等会議の廃止によるようです。閣議の議題を決める次官会議そのものはセレモニー的な色彩が強かったが事前決着を目指し、各省庁は事務副長官の了解を得ることに力を注いできました。集まる情報が力の源泉でした。
それが、政治主導を掲げる鳩山政権では、事務次官も最初に足を運ぶのは政務三役であり、各省庁の利害がぶつかれば駆け込み先は事務副長官ではなく、政務副長官で、官僚のことも知る松井です。

財務、外務、警察の3省庁から出向している副長官補にしても、首相と面会するチャンスは殆どないようです。
各省から出向している首相秘書官の立場も微妙で、首相と閣僚は秘書官を入れずに協議する場面が多く、ある秘書官は「会議室の壁に耳をあて、中の議論に耳をすませることだってある」と明かします。

事務次官等会議については、このブログでもで高橋洋一「さらば財務省!」(4)事務次官会議が廃止にで紹介してきました。
また、先日紹介した長谷川幸洋著「日本国の正体 政治家・官僚・メディア――本当の権力者は誰か」でも以下のように詳しく紹介されています。
自民党政権時代、閣議に上げられる案件は事務次官等会議で承認された案件に限られていましたが、実はほとんどの場合、事前に各省局長級の段階で調整がついています。省庁間で取り引きが行われ、調整が完了するわけですが、そんな取引でも調整がつかない場合はどうなるか。官僚にとって、最終的な殺し文句は「それなら、次官会議に上げますか」という台詞です。局長級折衝で折り合えず、事務次官等会議に上げるとなると、次官同士がガチンコ対決になります。一省でも反対があれば、案件は承認されないので、結局つぶれます。しかしつぶされた側は必ず報復を考えるので、結局は次官会議も基本的に全員賛成になります。
言い換えれば、従来、この国の政策決定はほとんどの場合、各省局長までの段階で大筋が決着され、閣僚に残された余地はほとんどない、といってよかったのです。

そういった意味でも、今回の政権交代で解き放たれた呪縛というのは大きかったと思います。
後は民主党連立政権がそれなりのリーズナブルな政策を打ち出して行ければいいのですが・・・・。
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