弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

レコードプレーヤー

2014-10-13 21:34:45 | 趣味・読書
我が家にも昔はレコードプレーヤーがありました。しかし、1995年頃、雑音が出るようになり、それ以来使わなくなりました。
義母の家で長い間預かっているレコードプレーヤーがあるのですが、預けたご本人が亡くなり、引き取り手がいなくなりました。そこで、我が家で引き取って使ってみることになりました。しかし、どんな装置なのか何も情報がありません。

我が家に宅配便が届きました。レコードプレーヤーは購入時の段ボールに収納されています。それ以外に、レコードを満載した段ボールも多数届きました。
プレーヤーは分解されてきれいに梱包されていましたが、使用説明書がありません。搬送用のビスが2カ所あったので、それは外しました。そして電源を入れてみましたが、ターンテーブルが回りません。「故障かな」と心配しながらいじっていたら、ターンテーブル回転軸を両側から押さえているプラスチックに気づき、それを外してみたところ、無事に回り始めました。

ところで、このプレーヤー、附属しているべきトーンアームが箱の中に見当たりません。トーンアームを新たに購入するとなると計画が狂います。しかし、どこかにあるに違いない。そこで、レコードが収納された段ボール箱の一つを見定め、「これだろう」と開けてみました。すると、予測通り、そこにはトーンアームの箱が入っていたのです。
トーンアームについては使用説明書が同梱されていたので、何とか組み立ててみました。
できあがったのが以下のシステムです。
プレーヤー本体はテクニクスのSL-1200でした。こちらのサイトによると、「テクニクスが,1972年に発売したプレーヤーシステム。現在まで続くSL-1200シリーズのスタートがこの 初代SL-1200でした。」とあります。
 
プレーヤーシステム SL-1200(テクニクス)

トーンアームはグレースのG-940です。こちらは、箱の中に購入伝票が入っており、50年12月14日の日付があります。このトーンアーム、説明書には「ワンポイント・サポート・オイルダンプ・アーム」とあります。オイルダンプ?、これについてはあとで説明します。
 
トーンアーム G-940(グレース)

カートリッジは、FR-1 MK2と記されたものが同梱されていました(左下写真)。
  
カートリッジ FR-1 MK2(フィデリティリサーチ)       AT9V(オーディオテクニカ)
さて、「オイルダンプ」はさておき、取りあえずプレーヤーをアンプに繋ぎ、レコードに針を落としてみました。ところが、スピーカーはうんともすんとも言いません。さて、面倒なことになりました。今回つないだアンプはAVレシーバーであり、フォノ入力がありません。そのため、フォノイコライザーを事前に購入していました。このため、カートリッジ→アーム→フォノイコライザー→アンプのすべての接続が今回初めてです。従って、どこの接続に問題があるのか、絞り込みが大変です。
幸い、私自身が1988年頃に購入したカートリッジを保管していました。右上写真のAT9V(オーディオテクニカ)です。そこで、カートリッジをこれに交換し、再度トライしてみました。するとどうでしょう。見事にスピーカーが鳴り出しました。これで、問題がカートリッジ、あるいはカートリッジとアームの接続にあると絞り込まれました。
今回の探ボール箱の中に、ヘッドシェルも一つ入っていました。そこで、FR-1 MK2を予備のヘッドシェルに付けなおしてみました。すると今回は、ごく小さな音がスピーカーから聞こえてきます。ハッと気づきました。FR-1 MK2はMM(ムービングマグネット)ではなく、MC(ムービングコイル)なのではないか。調べてみると、こちらのサイトにありました。確かにこのカートリッジはMCです。
今回、フォノイコライザーとして以下のものを準備していました。
audio-technica フォノイコライザー AT-PEQ3
クリエーター情報なし
オーディオテクニカ
MCには対応せず、MM専用です。私としては、MCを使うことを想定していませんでした。しかし、今回入手したカートリッジがMCであることが判明しました。せっかくいい装置を導入したのに、肝心のカートリッジが私の低価格品ではバランスが取れません。やむを得ません。MCにも対応するフォノイコライザーを購入することにしました。
audio-technica フォノイコライザー AT-PEQ20
クリエーター情報なし
オーディオテクニカ
そして到着したのが以下の製品です。押しボタントグルスイッチにより、MCとMMを切り替えます。

フォノイコライザー AT-PEQ20(オーディオテクニカ)

これにより、FR-1 MK2が使えるようになりました。

最後は懸案の「オイルダンプ」です。私自身、オイルダンプという言葉に聞き覚えがあります。小学校高学年の頃、1960年頃ですね、トーンアームの方式としてオイルダンプがあり、高級品に選ばれているということでした。全体形状に特徴がありました。こちらの写真のように、根本が太くなる形状であったことをいまだに覚えています。しかしその後、オイルダンプアームにお目にかかったことはありません。てっきり、絶滅したと思っていました。まさかそのオイルダンプアームを入手することになるとは。
私が入手したオイルダンプアームもグレース、そして大昔の上記写真もグレースということは、グレースはオイルダンプアームと因縁が深いのですね。

普通のトーンアームは、ベアリングの軸受で支持されています。アームは、上下方向、左右方向には自由に動きますが、アーム軸回りには回りません。これでカートリッジのたおれを防止できます。
一方、今回使用しているアームは、「ワンポイントサポート」とあるように、アームはやじろべいのように支持されています。サポートポイントの回りに、上下方向、左右方向に加え、アーム軸回りにも回転自由です。しかしこれでは、レコードに針を置いた後にもアームは軸回りにゆらゆら揺れてしまいます。そこで登場するのがオイルダンプです。高粘性のオイルを封入することにより、揺れを制動するようなのです。オイルダンプの目的は他にもあるようですが、取りあえず私としては、軸回りの揺れを防止することは必須です。

私が入手したアームは、段ボール箱の中にアームが垂直方向に収納されていました。この状態で30年以上経過しているはずですので、もしオイルが入っていたとしても抜け出ているはずです。梱包にオイルの跡がありませんでしたから、梱包する前にオイルを抜いていたのでしょう。この辺の事情については、ご本人が亡くなっているので確かめようがありませんが、現時点でオイルが入っていないことは確かです。
ネット検索したところ、趣味YOUYOUさんのサイトが見つかりました。同じG-940をヤフオクで入手され、オイルを入れて使っておられます。「シリコンオイルは100,000cstを使いました。」とあります。アマゾンで検索したらすぐに見つかりました。また、高粘性なので注射器がないと入れづらい、ということで、注射器も検索しました。
AZ シリコーンオイル 粘度100,000cSt 20ml( シリコンオイル・潤滑油)
クリエーター情報なし
株式会社エーゼット
AZ注入型計量容器 2.5ml MJ101
クリエーター情報なし
AZ(エーゼット)
これらを購入し、準備万端です。
  
キャップを外したところ                     外したキャップ

 
注射器でオイル注入                       完成
オイルは、確かに水飴のように高粘性です。蓋を外して容器を傾け、口の近くまでオイルを導き、注射器でオイルを0.5ccほど吸入し、それをアームの注ぎ口から注入しました。
 
オイル                             2.5cc注射器

オイル注入前と後のアームの振動状況を動画に撮りました。針をレコードに置くのではなく、アームをアームリフターに支持させた状態です。従って、振動状況は針を置いた場合より強調されているはずです。オイル注入前はアーム軸回りの回転振動(ヘッドの左右への振れ)がなかなか減衰しないのに対し、オイル注入後は数回の振動で減衰していることがわかります。取りあえず、オイルダンプしないとアーム軸回り回転振動が発生すること、オイルダンプして振動が減衰することが実際に確認できました。
オイル注入前の動画 オイル注入後の動画

こうして、我が家にやってきたレコードプレーヤーが稼働を開始しました。
我が家で20年以上眠っていたレコードを取り出し、順番にプレーヤーにかけています。久しぶりに部屋の中を音楽のサウンドで満たす幸せに浸っています。
もっとも、我が家の再生装置は、スピーカーにしてもBOSE 101MMを天井から吊したものでして、今回入手したレコードプレーヤーが実力を発揮しているかどうかは不明です。
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3 コメント

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こんにちは (mini4312)
2014-10-13 22:13:45
はじめまして
当方のブログを訪問くださりありがとうございます。
このアームはもう手元に無いのですが、このアームを購入された「たーさん」というブログ友達がメンテ方法や左右が逆接続だったとか色々役立つ情報を書き込んでくれてます。是非みてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/doraemondayo4518/folder/1092418.html
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カートリッジの接続が逆 (snaito)
2014-10-13 23:24:20
mini4312さん、コメントありがとうございます。
このアームのカートリッジ接続が逆であるとの情報、確認しました。
今回最初に使って音が鳴らなかったために取り外したヘッドシェルがグレースでした。そして確認したら、確かに緑と青の線が(他の2つのシェルと違って)左右逆についていました。音が左右逆に出ているのでしょうね。その点に注目して聞いてみます。
次のチャンスにシェルの配線を入れ替えることとしましょう。
返信する
カートリッジの接続変更 (snaito)
2014-10-15 00:33:05
オーケストラの曲をかけてみました。確かに、コントラバスが左から聞こえます。
そこで、カートリッジの端子とヘッドシェルの端子を接続しているコードの接続を変更(ヘッドシェル側で変更)しました。
現在は無事に、コントラバスが右に聞こえます。
これで、グレースのトーンアームを正常に使用する体制が整いました。
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