弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

ワクチン接種回数の実態

2021-07-08 18:03:45 | 歴史・社会
「ワクチンの供給量が足らない」と大騒ぎになっています。自治体の接種計画も、職域の接種計画も、すでに完了した接種予約をキャンセルする事態です。何が起きているのか、先日のブログ記事「コロナワクチンが足りない 2021-07-06」で分かる範囲を書きました。

モデルナの供給量が当初計画から大きく下回っている問題については、ここでは触れません。
ファイザー製ワクチンについてです。
ファイザーについては、「6月までに1億回分、7~9月の3ヶ月に合計7千万回分」という当初からの計画で、ほぼ計画通りに供給されるようです。それにもかかわらず、なぜ各市区町村の接種計画を見直し、予約をキャンセルする事態に立ち至ったのか。

[1]「6月から現在までにバンバン接種したので、6月中の1億回分を使い切ってしまった。これからは、7~9月の7千万回分を均等に配るしかない。2週間ごとの供給量は、
7千万÷3ヶ月÷2=1170万回
となり、政府のアナウンスの通りである。」
[2]「実績集計では、接種合計は1億回よりもかなり少ない。6月までに市区町村に配布したワクチンのうちの相当部分が現地に在庫しているはずだから、それを探し出して接種を継続して欲しい。2週間ごとの1170万回で足りるはずである。」

上記[1][2]のいずれか、またはその両方なのでしょう。
正しい接種回数が集計できれば問題ありません。しかし、唯一の頼みの綱であるシステム(VRS)への入力が遅れており、自治体によっては1ヶ月遅れで入力しているといいます。現時点で日本政府は、「正しい接種実績」を誰も把握していないのです。

「在庫があるのに頭を下げて予約を取り消す市長なんて、どこにもいない。実質的に“在庫”は無い」突然のワクチン供給量減少に憤る兵庫県明石市の泉房穂市長 7/6(火) 18:25」で面白いデータを見つけました。
「1日あたり接種回数も減少?」と名付けられたグラフです。「医療者接種は除く VRS入力をカウント」とあります。このグラフには、全体合計と、2回目接種回数が示されています。このグラフを読み取ったのが下の図の実線(合計(VRS)と2回目接種(VRS)です。直近で、2回目接種も合計も回数が激減しています。これは、「VRSシステム未入力」による部分が多いと推定できます。

2回目接種は、1回目接種の3週間後に行われているはずです。このグラフから1回目接種の回数を読み取ります。今から3週間前よりも以前については、VRS入力も進んでいることでしょう。そのデータを右側に3週間分ずらせば、「2回目接種(予測実績)」になるはずです。上記グラフの下側の鎖線で示しました。3週間ずらした上で、6月中旬までのグラフで実線と鎖線が一致するよう、鎖線を若干下に下げました。
直近において、2回目接種の実線と鎖線で解離が出ています。実線は直近で低下しているのに、鎖線は一定を保持しています。時期ごとに、鎖線と実線との乖離分が、真の接種数とシステム入力した接種数との乖離に一致しているはずです。そしてその点は、1回目と2回目の合計についても成り立ちます。
そこで、合計(VRS)に対して、2回目で判明した乖離分を反映して、「合計(予測実績)」の鎖線を記載しました。この鎖線からわかるように、直近において、だいたい接種回数は120万回/日をやや下回る程度で推移していることがわかります。

以上のように、最近のワクチン接種実績を大まかに推定することができました。
政府にしても各報道機関にしても、この程度の推理は働かせて欲しいものです。
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