弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

日経新聞「農協の功罪」

2013-12-16 22:10:15 | 歴史・社会
先日、『山下一仁著「農協の大罪」』をここで記事にしたばかりですが、12月15日の日経朝刊1面に
『転機に立つ農業 中 「農協の功罪」』
という記事が載っていました。

「功罪」というからには、「罪」だけでなく「功」も記載されているはずです。しかし、読んでみましたが、「罪」の話しか載っていませんでした。「功」に見えそうな文章としては、
『農協は農薬や農機具の購入、売り場の提供を通じて全国の農家を支えてきた。』があります。しかしこの文章は偽りです。私が山下一仁著「農協の大罪」を読んで理解した実態はというと、
『農協は、農薬を農家に高く売りつけ、米の販売手数料を高く徴収し、全国の農家から収奪してきた』が正しいです。高コストはすべて米価に反映するので、最終的に収奪されたのは農家ではなく米消費者ですが。

もう1点、
『優秀な専業を伸ばせば、手取り足取りは徐々に要らなくなる。』との文章があります。しかし、農協は営農指導などほとんどしていないといいます。農協はもっばら意欲のある専業農家の足を引っ張ってきただけです。

山下一仁さんの著書のように「農協の大罪」とすべきところ、マスコミは農協に遠慮しているのでしょうか、「農協の功罪」という表題となったわけです。

日経記事には、越前たけふ農協の活動が紹介されていました。この農協は、農産物の販売を柱とする経済事業を子会社に譲渡した結果、肥料をメーカーから直接仕入れられるようになり、米などは直接売れるといいます。
つい先日、テレビでもこの農協の活動を見ました。米はそれぞれ品質評価し、評価結果に基づいて値段を変えています。良い米を作れば高く売れるのです。他の農協ですと、どんなに高品質でも米は一律の値段でしか売ってくれません。この農協ブランドの米を購入している消費者は、「おいしい。味が違う。」といいます。この農協傘下の農家では、良い米を作れば高く売れるので、努力して良い米を作っているのでしょう。
「農協の既得権益を守る農協」ではなく、「農家と消費者のための農協」という至極まっとうな活動をしているのですが、おそらくこの農協は、農協中央からものすごい圧力を受けていると思います。テレビではこの農協を見学する他の農協の人が登場しましたが、「すぐにはできない」と言っていました。たけふ農協の富田隆代表理事組合長がえらいのでしょうね。これからもがんばってください。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 山下一仁著「農協の大罪」 | トップ | 原発汚染水問題と遮水壁 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

歴史・社会」カテゴリの最新記事