大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年11月17日 | 写詩・写歌・写俳

<1784> 余聞・余話 「冬の月に寄せて」

       この月は果してデモの頭上にも戦火の頭上にも輝ける

 十二月十四日は月が最大に見えるスーパームーンの日だったが、残念ながら大和の空は一面雲に被われ、見ることが出来なかった。昨夜、台所に立っていた妻から大きな月が出ていると声がかかり、二日後の立待ちに当たる月を東の空に見た。完璧な冬晴れではなかったが、薄雲の間から見えた(写真)。意識していた所為か、少し欠けて歪な月に見えたが、何とはなし大きく感じられた。その月に冒頭の短歌が思い浮んだ。

                                  

 デモとはいま繰り広げられている韓国のデモであり、米国のデモである。ともに権力の横暴に居たたまれない国民や民衆が行動しているもので、大きなうねりとして騒然たる様相を呈している。この二つのデモには似て非なるところがあるが、根本には大統領という最高権力者の資質を問う共通点がある。韓国の方は朴大統領が深く関わる金権塗れのスキャンダルという現実への失望と怒りであり、米国の方は思慮に欠けた次期大統領トランプ氏の発言内容に対する未来への不安が起因している。選挙も一種の闘争であるが、デモも一種の権力に対する闘争の一面がある。

  韓国の場合は大統領が辞任すれば収まるし、米国の場合はトランプ氏が発言の撤回をして柔軟な政策に向えば、これも収まるデモである。だが、闘争の頂点にある権力者というのは権力を翳して戦う。その権力にノ―を突きつけて行なうデモが大きければ大きいほど闘争は激しさを増す通例、韓国の場合はまさにそれが言える様相にある。

 何にしてもこの騒動というのは人間関係に生じていることで、人間同士が何とか折り合いをつけなくてはならない問題であり、如何なる権力者たるも国民が納得しない非が大統領にあるからはそれを認めて然るべき措置をとらなければことは納まらない。韓国の場合、騒動を収める最善の方法は大統領の辞任しかあるまい。米国の場合は政策への訴えであるから政策如何によってデモは大きくも小さくもなる質のものであるからは、根本が同じデモでも、米国のデモは韓国のデモとは様相を異にするところがある。

 どちらにしても、関わりのない月は、何の思惑もなく私たちの頭上にあって私たちを照らしている。日本の月も韓国の月も米国の月も戦火に曝されている中東の月もみな同じく頭上にあって照り輝いている。スーパームーンは時が過ぎ、和の心において言えば、私が昨夜見上げた月は立待ちの月であり、今夜は居待ちの月である。地球人の中で、穏やかな気持ちで日々が過ごせ、この照り輝く月を見上げていられる穏やかな心持ちの持ち主がどれほどいるだろうと、そういうことも思われたりする次第である。

     冬の月心に抱くべし我ら

     騒擾の地球おもへば冬の月


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