大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年07月10日 | 写詩・写歌・写俳

<3825> 余聞 余話 「炎天下」

     炎天下何処へ行くのかオートバイ時の先端の風を切りつつ

 安倍晋三元首相が襲われ凶弾に倒れた。一報を聞いたのはラジオの速報を聞いた妻からのまた聞きであった。二、三日前から夏風邪に襲われ、咳、熱、痰に痛みを加え、苦しめられていたときで、朝から食欲のないそんな日だった。犯人に襲われ、胸から血を出しているという。それも目と鼻の先の奈良市で参院選の応援演説時のことだという。

 犯人は如何なる経歴、素性の持主か。安倍元首相は心肺停止の状態で、橿原市の病院にドクターヘリで運ばれ、治療を受けているという。心肺停止は極めて深刻な命にかかわる状況で、結局、蘇生に及べず、亡くなった。凶暴な犯罪は表向きわからない日常の闇に潜んでいるということなのだろう。犯人は元海上自衛隊員で、四十一歳の男だという。

                                           

 警察の取り調べでは、母親が関わって酷い目に遭った宗教団体に安倍元首相が関わっているという思い込みが動機にあったようで、政治的思想性や政局絡みではないという。犯人には一つの事実を突きつけられ、それへの思い込みが始まり、その思い込みが募りに募り、思いは果てしなく深刻度を増し、妄想の域から妄想の実行、即ち、凶行にまで及んだということなのだろう。

 凶弾に倒れた安倍元首相はもちろんであるが、悲劇的結末を自らが演出し、演技して見せた現場に居合わせた多くの人々をも巻き込んだということになるのだろう。

  何ごとも起きるは自他に関はらず時の鋩上の一時

 それにしても、自他に関わらず、よしにつけ悪しきにつけ、何ごとも、時の先端の今において起きる。という点で今回の安倍元首相の事件もその点が思われるところである。そういう意味において私たちは今という時を大切にし、生きて行かなくてはならないことになる。で、太宰治の言葉を思い出した。「日常坐臥は十分、聡明に用心深く為すべきである」という言葉。人生の実質は日常坐臥の積み重ねによる。 写真はカット(イメージ)。炎天下、オートバイは時の先端を走っている。何処に向かうのか。気をつけてとは思ったことではあった。


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