大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年05月15日 | 写詩・写歌・写俳

<3769> 野鳥百態(49) 愛鳥週間に寄せて

     日々の身に日々の営み日々の生それぞれにあり日々の存在

     鳥たちもそれぞれにありそれぞれに生き営めり翼にあって

     初夏のバードウイーク鳥たちは愛されるべく耳目を訪へる

 五月十日から愛鳥週間(バードウイーク)で、前後のこの時期、野鳥たちには繁殖期に当たり、それぞれに活発な動きがその営みの中に見られる。ということで、ここではその一端をイワツバメ、ウグイス、キジ、スズメ、カイツブリ、コサメビタキといった鳥たちに見てみたいと思う。

                           

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 イワツバメの巣作り――イワツバメはツバメと同じ夏の渡り鳥で、三月のはじめごろ姿を見せ、岩壁などにみんなで巣を作り、子育てをする集団営巣に取りかかる。最近では橋脚のコンクリート壁などにも営巣し、嘴で泥土を運び、コンクリートの壁に貼りつけながら積み上げて巣を作る様子がうかがえる。作り始めから完成まで五日とかからない。写真(1)は嘴に泥土を咥え、巣を作るイワツバメ(三月十五日の撮影。五月の今は繁殖期の真っ最中で、親鳥たちは活発に飛び回っている)。

 ウグイスの美声――「ウメにウグイス」とは昔からよく言われる言葉だが、大和地方でウグイスの美声が本格的に聞かれるようになるのは陽気が一段と増す四月に入ってから。この時期になると、そこここで聞かれるようになる。この美声は囀りで、オスによる縄張りの主張、或いはメスへのアピールと言われる。ほかにも美声の持主は結構多く、繁殖期のこの時期に集中する。写真(2)は繁る梢で美声を聞かせるウグイスのオス(四月十六日の撮影。声はすれども姿は見えずという状況下、撮りづらいところがあった)。

 キジの肉垂美――真っ赤な頭頸部、目の周りに配置された肉の垂れた塊がキジのオスに見られる。これを肉垂(にくすい、にくたれ)という。よく目立ち、大きく鮮やかなほど立派な肉垂で、メスへのアピールになる。ということで、繁殖期のこの時期になると、オスはこの赤い肉垂の目立つ頭頸部を高く上げて見せ、遠くまで聞こえる声で鳴き、翼を広げてばたつかせる母衣打ちという行為に出る。写真(3)は繁殖期のキジのオス(四月二十二日の撮影。鮮やかな赤色の肉垂が印象に残る)。

                          

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 スズメの交尾――白昼、それも車が行き交う道路上。スズメが二羽、大胆にも絡み合い、もつれ合って羽をばたつかせていた。高校生が三人自転車から目線を向けて通り過ぎて行った。二羽はなお離れず、暫くくっ付いていた。写真(4)はスズメの交尾(五月五日の撮影。車の窓から望遠レンズを取り付けたカメラで撮った。羽を広げている方がオスであろう)。

 カイツブリの抱卵――溜池の隅の枯枝や枯葉で作った浮巣にカイツブリが乗っかって卵が一つ見えた。写真(5)は卵が見える浮巣(五月四日の撮影。メスとオスが交代で卵を温めているのが確認出来た。卵は巣の陰に隠れて見えないものがあるのかも知れない。大きさは遠目で見るにニワトリの卵ほど。風が強く、高い波の日もあったが、後日、無事に孵って二羽のヒナが見られた)。

 コサメビタキの子育て――馬見丘陵公園でのこと。公園の一角のエノキを愛鳥家の人たちが取り囲んでカメラの放列が出来ていた。そのエノキの太い枝の股にコサメビタキのお椀のようなウメノキゴケで作った巣があり、親鳥とヒナが見られた。近くに凶暴なカラスがヒナを狙っているので親のどちらかが巣にいてヒナを守らなければならない状態だった。写真(6)は大きな口を開けてエサを待つヒナたちと親鳥(五月十二日の撮影。エサを運ぶオスの親鳥は痩せ細っていた)。

 ほかにもホオジロやコゲラなどによく繁殖期の様子がうかがえるが、とにかく、愛鳥週間(バードウイーク)前後のこの時期、野鳥たちには活発な動きが見られる。

 


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