大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年03月11日 | 植物

<1899> 余聞・余話 「花のつき方について」 (勉強ノートより)

         蕺草は蕺草にして花咲かすその一分を思はせるごと

 花は植物の種類により一定の方式にともなって配列する。この配列する花のついた枝(軸)全体及び花のつき方を合せて花序という。花序は果期には果序と呼ばれる。花序が複数の花からなる場合、これらの花を支える共通の柄を花梗(総梗)という。花序が分枝する場合は二次、三次の花梗が見られ、最終的にはそれぞれの花(花柄)に続くことになる。例えば、サクラでもヤマザクラは花梗と花柄が認められるが、ソメイヨシノやエドヒガンでは花が枝木に直接散状につき、明瞭な花梗は見られない。この場合、花が単生する状態では花柄が総梗ということになる。

 苞(苞葉)は花の基部もしくは花柄上に見られ、質、色が多少とも変形したものを指し、小苞とも呼ばれる。例えば、ドクダミでは花序の基部に白い4個の花弁状の苞が見られ、多数つくそれぞれの小花にも微細な苞がつく。この場合、花弁状の4個の苞は総苞と呼ばれ、その4個の1個1個は総苞片という。頭状花で知られるキク科のタンポポは、舌状花が多数集合して1花を形成し、花全体の基部に鱗片状の総苞乃至総苞片が見られ、小花である個々の舌状花には苞がつかない。また、特異なものでは、テンナンショウ属の花のように花序を包む大きな苞がある。これは仏炎苞と称せられ、花序は肉穂花序と呼ばれる。

                   

 花序が複数の花をつける場合、花序の中心にある軸を花序軸という。例えば、ヤナギ科では花序の中心軸に花が直接つくので、花序軸がはっきりしている。花序軸が際立って短くなり拡張して広がる花序は頭状となるものが多く、この場合、花序軸は花床となる。キク科の花がよい例としてあげられる。また、イネ科やカヤツリグサ科では花序の単位は小穂で、特殊な構造になっていて、その中心軸は小軸と呼ばれる。

 一方、花と花序の関係で見てみると、一つの花序の頂端につく花を頂花、それ以外の花を側花という。花序が単一である場合頂花は1個、側花は普通複数に及ぶが、複合する花序では複合する花序の数だけ頂花が見られ、側花も増える。側花が苞に腋生する場合は腋花という。頂花はしばしば側花とは異なる形質を持ち、例えば、ドクダミの頂花は両性花であるのに対し、頂花付近の側花は雄花となる。フキの雌株の頂花は両性花であるが、側花は雌花が現れる。

 一つの花序でありながら、花が小さく且つひとまとまりになって、一見一つの花に見える場合を偽花という。例えば、ドクダミの穂状花序、トウダイグサ属の杯状花序、キク科やマツムシソウ科の頭状花序は偽花である。また、長い花序軸に多数の無柄乃至は短柄の側花を密生した花序をと呼ぶ。ナギナタコウジュ属、タデ属、ガマ属など多くの例が見られる。偽花や穂のように小さい花が緊密に花序を形成する場合、個々の花を小花という。  写真は左から白い4個の苞が目につくドクダミ。中央に立つ穂状花序の穂の部分に小花が多数つく。次はキク科のハルジオンの花。頭状花の一つで、筒状花(管状花)と舌状花多数の小花からなる偽花である。次はイネ科のススキの花穂で、多数の小穂からなっている穂状花序である。右端は長い花序軸に側花を密生したナギナタコウジュの穂。 

 

 


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