大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

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2016年11月25日 | 植物

<1792> 余聞・余話 「植物の分類について(4・勉強ノートより)」

      天と地とあるはプラマイ明と暗この間にして生の存在

 植物には生育地の環境に左右されるところがあり、これによる区分もまた見られる。まずは、太陽光に関連して分けられる区分。

  陽生植物(耐陰性が弱く、太陽光のよく当たる陽地に生える植物。木本では陽樹と呼ばれる存在の木々があある)―――――――ーーーナズナ、タンポポ類、ススキ、パンジー、マツ類、ヤマハギ、ヤナギ類、ウツギ

  陰生植物(耐陰性が強く、主として陰地に生育する植物。日陰植物とも言われ、木本では陰樹と呼ばれる。大半は常緑樹である)―ーー--ミズヒキ、イノコズチ、ノブキ、サトイモ、ヤツデ、アオキ、ミヤマシキミ

 一般に、温帯地方の植生遷移では最初に陽生草本が現れ、次に、陽樹が進出し、更に陰樹に代わり、最終的には陰樹の常緑樹による極相に至り、森を形成する。山火事の跡を、年月をかけて時間的に追跡すれば、そこに生育する植生におけるこの遷移の傾向がよくわかる。ススキの草原を毎年焼き払うのはこの環境による植生遷移を陽生植物の草本段階に止めるためである。

                                                               

  次に水との関連で区分される植物群があるのでこれを見てみたいと思う。まず、水生植物(水底で発芽し、ある時期に植物体が完全に水中にあるか、抽水状態で生育する植物)がある。水生植物は次のように区分される。

 1、沈水植物(茎や葉の全体が水面下にあり、根が水底に固定されている植物)――――-バイカモ、セキショウモ、コカナダモ

 2、浮葉植物(葉は水面に浮かび、根が水底に固定されている植物)―――――――――-ヒツジグサ、ジュンサイ、ヒシ、ガガブタ、ヒルムシロ

 3、浮水植物(浮遊植物・根が水底に固定せず、植物体が水面を浮遊する植物)――――-タヌキモ類、ウキクサ、ホテイアオイ、サンショウモ

 4、挺水植物(抽水植物・根が水底に固定し、茎葉の一部が水上に抜き出ている植物)---コウホネ、ハス、ガマ類、フトイ、ヨシ

 5、湿生植物(湿地や湿原など水分の多いところに生える植物)――――――――ーーー-ハンノキ、ミソハギ、シロネ、アカバナ、アゼムシロ

 これらの水生植物に対し、中生植物(適潤な水分量の立地に生育する植物)と乾生植物(水分の少ない砂漠、岩場、極寒地などに生育する乾生形態の認められる植物)とがある。

 乾生植物には矮小化、表皮のクチクラ層の発達、水分の蒸発を防ぐ葉や表皮の構造、貯水組織の発達、根の伸長等の特質が見られる。例外もあるが、次のような例をあげることが出来る。ハマアカザのような塩生植物、ツメレンゲのような多肉植物、イワベンケイのような高山植物、サボテン類などの砂漠植物。

 次に温度との関連で見られる区分がある。例えば、高山植物や極地植物がある。高山植物は高山帯、即ち、垂直分布において森林の限界以上から植物が住めない氷雪帯以下の場所を生育の本拠地として自生する植物で、日本の森林限界は本州中部山岳で標高2500メートル、北海道では標高1500メートルが目安である。日本の高山植物は400種あまりにのぼり、50パーセントが固有種と言われる貴重な植物として保護が叫ばれている。

 極地植物は寒帯植物とも呼ばれ、寒帯、即ち、植物の水平分布において森林の限界よりも高緯度の場所を本拠地として自生する植物で、矮性化の見られるのは乾生植物に同じである。 写真はカット。左から陽生植物のカンサイタンポポ、陰生植物のミヤマシキミ、水生植物のヒツジグサ、ノタヌキモ、コガマ、ミソハギ、乾生植物のツメレンゲ。

 


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