大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

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2016年11月26日 | 植物

<1793> 余聞・余話 「植物の分類について (5・勉強ノートより)」

       生きるには生きるにおける環境がまづ大切の第一にある

 次に地質による区分を見てみたいと思う。日本列島における土壌の特徴は大部分が珪酸を主成分とする酸性岩で、これに対し、一部に珪酸を含まないアルカリ質の石灰岩や超塩基性の蛇紋岩や橄欖岩が見られると言われる。これらの岩は特殊岩石と呼ばれ、この岩石帯には多くの草花が見られ、それぞれに特異な植物の生育が見られることで知られる。

  1、石灰岩植物(石灰岩地帯に生える植物)

      A、絶対的石灰岩植物(常に石灰岩の土壌に生える植物)――――――-――ーーーーーイワツクバネウツギ、チチブミネバリ

   B、条件的石灰岩植物(石灰岩の土壌によく見られる植物)―――――ーーーーーーーーイワシモツケ、セツブンソウ

 2、超塩基性岩植物(蛇紋岩植物・超塩基性岩地帯の土壌を好んで生える植物)

   A、絶対的超塩基性岩植物(常に超塩基性の土壌に生える植物)――――ーーーーーーートサミズキ、ハヤチネウスユキソウ

   B、条件的超塩基性岩植物(超塩基性岩の土壌によく見られる植物)――--ーーーーーー イワシデ、イワシモツケ

 石灰岩地帯や超塩基性岩(蛇紋岩)地帯ではその土壌の成分によって、山地であっても草木が育ち難く、また、それらの岩石が風化し難い傾向にあるため、山巓や尾根にこれらの岩石帯が現れている傾向があり、一つの山がまるまるこれらの岩石に被われている山も見られる。これらの岩石帯では大きな樹木が生え難く、陽生植物が生育する条件が整うため、大きな樹木が少なく、春先に花を咲かせる丈の低い草花が多く見られる傾向がある。

これは、これらの岩石帯に見られる植物がこの岩石帯を好んで生えているというよりもこれらの岩石帯によく耐えている植物が多い姿と言われる。もちろん、イワツクバネウツギのように石灰岩地にしか姿の見えない植物については石灰岩地を好む植物と見なせるわけで、上述の分類のAの「絶対的石灰岩植物」に当てはまるわけである。しかし、石灰岩地に生える植物の大半は前述した通り、Bの「条件的石灰岩植物」に当たるものと考えられる。

                                      

  鈴鹿山系の藤原岳(1165メートル)は石灰岩の山で、丈の低いフクジュソウ、セツブンソウ、アワコバイモ、ヒロハアマナ、カタクリといった春先に花を咲かせる草花が多く、花の百名山にも選ばれているが、こうしたすべての草花が石灰岩質の土壌を好んで生えているというよりも、石灰岩地の特徴であるよく日の当たる明るい生育環境に適合しているからと見た方がよいと言われる。

  滋賀県の伊吹山(1377メートル)も石灰岩の山で、草花が多く見られ、花の百名山で、草花の豊富なことで名高いが、イブキ(伊吹)の名がつく固有種が目につくのは石灰岩の土壌によってその姿を変質させたと見なせるわけで、石灰岩質の土壌によく耐えた姿と見なせるわけである。とにかく、これらの特殊岩石地においては多くの草花が見られるという特徴がある。

  こうした草花の中にガガイモ科のクサタチバナがあるが、大和の大峰山系の尾根筋にも一箇所、このクサタチバナの群落が見られるところがある。群落が見られるこの尾根筋の場所も石灰岩地で、狭い範囲ではあるが、そこは高木に乏しく、明るい草地が開け、多くの草花が見られるお花畑を形成している。これも石灰岩地が有する上述の条件によると見てよいのではなかろうか。つまり、クサタチバナが石灰岩質の土壌を好むというよりは、そこに生えているほかの草木と同じく、日の当たる明るい場所を作り出している石灰岩地の条件というのがまずはあって、その上、クサタチバナには石灰岩質の土壌によく耐え得る特質を持ち合せていたというふうに考えられる次第である。

  また、化学的性質に関連する区分も見られる。

  酸性植物 (PH7以下の酸性土壌に生える植物)ーーーーーーーーーーーワラビ、クリ、ヤマウルシ、リョウブ、シャクナゲ、ツツジ類、ヤマユリ

  塩基性植物 (アルカリ質の土壌に生える植物で、アルカリ植物とも呼ばれ、絶対的石灰岩植物はこれに当たる)――――イワツクバネウツギ

  中性植物 (酸性土壌にもアルカリ土壌にも適合して生える植物)―――――ーーーーーーーーーーーー-ーーーーーーーーーー アジサイ類

  アジサイ類は花の色で土壌がわかると言われ、自生するヤマアジサイにもこの傾向は現れる。青色系で酸性、紅色系でアルカリという違いがある。ほかにも、この項の区分には塩分に関係する塩生植物や海浜植物がある。 写真は石灰岩地でよく見られるクサタチバナ(左)と花の色の違いが見られるヤマアジサイの花 (左が酸性土壌の青色系、右がアルカリ土壌の紅色系の花)。

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