大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年01月26日 | 植物

<2938>  大和の花 (988) マルバアオダモ (丸葉青だも)                          モクセイ科 トネリコ属

                    

 日当たりのよい暖温帯域から冷温帯域に生える落葉高木で、高さは15メートルほどになる。樹皮は暗灰色で、枝は灰褐色に円形の皮目があり、若い枝には腺毛が見られる。葉は長さが10センチから20センチの奇数羽状複葉で、対生する。小葉は普通1、2対、稀に3対つき、長さが5センチから10センチの卵形で、先が尖り、基部は広いくさび形になる。縁の鋸歯が浅く、不明瞭なので、これをマルバ(丸葉)と表現した。アオダモ(青だも)は枝を切って水に浸けると水が青くなることによる。

 雌雄異株で、花期は4月から5月ごろ。新しい枝先の葉腋に円錐花序を出し、ミリ単位の白い小さな花を多数つける。花序軸には腺毛が見られ、花冠は4全裂し、裂片は線形になる。雄花には雄しべが2個、雌株の両性花には雄しべ2個と雌しべ1個が見られ、柱頭は赤みを帯び、子房は黒っぽく、実は翼果。

 北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島に見られるという。大和(奈良県)ではほぼ全域に見られ、春の花どきには、樹冠いっぱいに白い花が咲くので、遠目にもよく目につく。材は建築、器具などに用いられる。 写真は花期の樹冠(左・天理市上仁興町)、花のついた雄株の枝(中・同)、翼果をつけた果序(右・香芝市の屯鶴峯)。

     異変にも動じず見えて冬芽立つ

 

<2939>  大和の花 (989) アラゲアオダモ (粗毛青だも)                             モクセイ科 トネリコ属

          

 冷温帯域から寒温帯域に多く見られるアオダモの母種とされる落葉高木で、マルバアオダモよりも標高の高いところに生え、高さが15メートルほどになる。樹皮は暗灰色で、縦に割れ目が入る。枝は灰褐色で、円形の皮目が見られる。若い枝には粗い毛があるが、後に無毛になる。

 葉は奇数羽状複葉で、長さが4センチから10センチの長楕円形の小葉が1対から3対つく。小葉は先が尖り、基部はくさび形に近く、縁には細かい鋸歯が見られる。また、裏面の脈や葉柄には粗い毛が生える特徴があり、この名がある。

 雌雄異株で、花期は4月から5月ごろ。新枝の先や葉腋から円錐花序を出し、白い小さな花を多数つける。花冠は4全裂し、裂片は長さが数ミリの線形で、雄花では雄しべが2個。両性花では雄しべ2個と雌しべ1個つく。実は翼果で、長さ2、3ミリの倒披針形。

   北海道、本州、四国、九州に分布し、南千島や朝鮮半島にも見られるという。大和(奈良県)では南部の紀伊山地に多く自生するが、見分けが難しいものが多い。本種には毛があり、毛のないものを単にアオダモという。材は建築や器具に用いられる。  別名をケアオダモ(毛青だも)という。

 写真はアラゲアオダモ。花期の樹冠と花を咲かせた枝木(左・中・マルバアオダモと判別し難いが、山上ヶ岳の標高1600メートル付近での撮影により、アラゲアオダモと見た)。花序のアップ(右・大台ヶ原山のシオカラ谷)。

  冬の雨何の取り得もなきやうに


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