大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年02月15日 | 写詩・写歌・写俳

<1508> 日銀のマイナス金利導入に思う

         何により 何に向かひて 行くのやら 欲するものの 欲して止まぬ

 このほど日銀が金融機関の保有する日銀当座預金に0.1パーセントのマイナス金利を適用する「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決めた。年2パーセントの物価上昇率の目標を達成するためという。通常、預金すれば利子がつき、幾らかの利益になるが、マイナス金利では預けたお金がそのパーセンテージ分目減りすることになる。

  今までは0.1パーセントの利子がついていたので、金融機関は一般預金者の預金利率を差し引いた分の利益を得ていたことになる。だが、これからは預けて置くと目減りすることになるので、対策しなくてはならない。日銀はこのマイナス金利の導入によって市中の金融機関が企業の設備投資や株の運用などにその当座預金を回すことに期待しているわけである。そうするとお金が市中に出回り、企業の活性化や株価の上昇に繋げることが出来る。そうすれば、市中にお金が出回り、消費行動も活発になり、経済の好循環を導き出し、目的の年2パーセントの物価上昇率も可能になるというわけである。

  理論上はそういうことになり、これは一つの金融策であるが。この金融緩和策には市中、即ち、国民の心理に対する考察の欠如が思われる。専門の知識に凝り固まる自信家がよく陥る現場を考慮に入れない過ちがこのマイナス金利の方策には見え隠れしているようで覚束なさが感じられる。言わば、理論のみで実践は成り難いということ。この日銀のマイナス金利では市中の金融機関がどのように動くかが試されるわけであるが、損失のしわ寄せがどのように現われるか。一般預金者、即ち、国民にも波及して来る懸念がここにはあるわけで、出方によれば、経済を縮小させることにもなりかねないところがある。

                                                 

  まず、金融機関には企業の設備投資等に資金を貸し出すにしても、企業の方にそれだけの余裕がなく、借りる意志がなければ、この話は前に進まない。このことは一般国民の需要(消費)の有無に関わるもので、需要が旺盛であれば、進むということになるが、需要が見通せなければ、設備投資をする必然性はなく、日銀のマイナス金利の第一の思惑は果たせないということになる。

  言わば、企業の設備投資は需要と供給のバランスにおいてなされるもので、需要がなければ、供給は成らず、当然のこと設備投資も無駄になるので、企業には二の足を踏むことになる。果たして、今の時代、需要が旺盛になっているかということがここで問われて来ることになる。実質賃金が下がり、将来(老後)が不安な世の中の状況に国民の心理はなるべく節約して将来に備えようという具合になっている。ということであれば、消費は伸びず、需要は活性化せず、設備投資にも影響するところとなる。これが国民多くの心理的状況よりなる日本の経済動向の現れと言ってよかろう。私が日銀のマイナス金利の導入に国民の心理が読めていない過ちがあると言ったのは以上の点にある。

  一方、マイナス金利の期待の第二は株への投資に回ることで、株への投資が増え、株価の上昇に繋がること。これについては、以前にも何度か指摘したごとく、乱高下する株価の状況が何を意味しているかということが肝心なところである。言わば、株の乱高下は高下の利ザヤによって稼ぐ資金力のあるプロの博徒的やり方による現われで、実質経済の動向を反映するものではなく、仕組まれて株価が動くというふうに見た方が妥当であること。何故ならば、毎日、猫の目のように大きく乱高下する株価がどう見てもそこに起因すると思えるからである。

  何故、昨日下がったものが今日は上がり、今日上がったものが明日は下がるのか。この疑問がつきまとうのは、株価が実体経済を反映していない投機筋の思惑によっているからである。市場はその乱高下に必ず理由づけをする。それはまさしく義務のように、もっともらしく。だが、それは後付けにほかならないのである。その乱高下の理由がわかっているのならば、十分な予想が出来るはずであるが、そう行かないのが株式の現状である。それは何を物語っているか。言わば、株価の乱高下は市場の理由づけに見られるような理由などによるのではなく、市場を動かすことが出来る資金力の仕業が大きく影響しているということである。この仕業は秘匿され、わかり難いというのが通例で、このプロの仕業に一般投資家は誘導され、ときには得をするが、損をするというのが昨今の株式である。

 この株価の日変わりによる乱高下を理解するにはこのようにしか私には考えられない。ときには実体に即する株価の動きもあるだろうが、この実体もあるは仕組まれていることが思われたりする次第で、マイナス金利による金融機関の資金が株式の運用に向かうことも危うさにあると言える。

  これは、年金積立金の株式への運用にも言えることで、リスクが大き過ぎる点が懸念される。お金というのは低いところから高いところに向かって流れる特質があり、株にも言える。このことを知って置かなくてはならないが、国を上げて博打をするような株へののめり込みは止めた方がよい。お金を稼ぐには(実利を上げるには)堅実にやること。これに如かずである。ということで、この日銀のマイナス金利政策はどうかと思われる。 写真は日銀のマイナス金利導入を告げる新聞記事等々。


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