<3843>奈良県のレッドデータブックの花たち(251)ミズアオイ(水葵) ミズアオイ科
[古名] ナギ(菜葱・水葱)
[学名] Monochoria korsakowii
[奈良県のカテゴリー] 絶滅種(環境省:準絶滅危惧)
[特徴] 水湿地に生える抽水植物として知られる一年草で、太い茎を直立。高さ20~40センチになる。葉は根生葉と茎葉からなり、長さが10~20センチの柄を有する根生葉は長さが10センチほどの心形で、質が厚く、光沢がある。この葉がカンアオイ(寒葵)類の葉に似るのでこの名があるという。茎葉は柄が短く、葉も小さい。
花期は9~10月で、茎は根生葉より高く突き出て、その上部に青紫色の花を総状につける。花は直径3センチ弱、花被片、雄しべとも6個で、雄しべの中の1個は長く伸び、葯は青紫色、残りの5個は短く、葯は黄色。実は蒴果で、長さが1センチほどの卵状楕円形。熟すと下を向いて垂れる。
[分布] 北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国。
[県内分布] 自生の分布なし。
[記事] 全国的に絶滅が懸念されているが、大和地方(奈良県域)では2008年のレッドデータブックにおいて「近年全く見られない」として絶滅種にあげている。大和地方(奈良県域)では昭和年代の中ごろまで野生するものが見られたようであるが、今は植栽以外、野生の個体は見られない。
なお、古名はナギ(水葱・菜葱)で、『万葉集』にもその姿が見える。昔から民間療法として茎葉が用いられ、吸い物の実に刻んで入れて飲むと、胃潰瘍に効能があるという。写真は花期のミズアオイ(植栽による)。
植物の話などはなるべく精確を期すべきものながら
ある程度はロマンに傾いてもよいのではないか