<3845>奈良県のレッドデータブックの花たち(252)ミズオオバコ(水大葉子) トチカガミ科
[学名] Ottelia alismoides
[奈良県のカテゴリー] 希少種(環境省:絶滅危惧Ⅱ類)
[特徴] 水田や浅い池沼、溝などに生える沈水植物の1年草で、水中に沈む柄のある葉が広披針形から広卵形になり、オオバコ(大葉子)の葉に似るのでこの名がある。緑色の幼葉は成長とともにくすんだ紫褐色になり、枯葉のように見えるところがある。深いところに生える個体ほど葉が大きくなるという。
花期は8~10月。水底の葉の間から花茎を伸ばし、水面に白色もしくは淡紅紫色を帯びた1花を上向きに開く。花は両性の3弁花で、萼片は3個、雄しべは3~6個、雌しべは6個。ともに黄色で、見分け難い。実は核果で、種子は果肉の粘液によって浮遊するが、粘液が劣化して来ると、種子は沈水して実を結ぶ。
[分布] 本州、四国、九州。国外ではアジア、オーストラリア。
[県内分布] 奈良市、天理市、桜井市、宇陀市、葛城市、明日香村、高取町、大淀町。
[記事] 全国的に減少傾向にあり、環境省も注目している。大和地方(奈良県域)でも減少が著しく、レッドデータブックは「生育地の開発や埋め立て・ため池や用水路の改修・圃場整備・耕作放棄などによる自生地の消失、水質汚濁などにより減少の傾向にある」という。 写真はヒシと混生して花を見せるミズオオバコ(左)と枯れ色の葉を有する個体の花(右)。
この世の中は想定内にできている
にもかかわらず想定外を主張するのは
自らの至らなさを言うほかならない