<3836>奈良県のレッドデータブックの花たち(248) マツグミ(松茱萸) ヤドリギ科
[学名] Taxillus kaempferi var. kaempferi
[奈良県のカテゴリー] 希少種(旧絶滅危惧種)
[特徴] アカマツ、クロマツ、モミ、ツガ、稀にトガサワラなどの針葉樹に半寄生する常緑小低木で、高さは大きいもので60センチほど。多数の枝を密に出し、垂れ下がる枝もあってこんもりと繁って見える。葉は長さが4センチほどの倒披針形で、先が丸く、やや肉厚で、対生することが多い。この葉によって光合成が行われるが、十分でなく、宿主の木に根を差し入れて養分をもらう。所謂、半寄生の生活実態を持つ。
花期は7~8月。花は両性で、葉腋ごとに長さが5センチほどの鮮やかな赤い花を多数つけ、花どきにはよく目につく。液果の実は直径5ミリほどの球形で、翌年の3~5月に赤く熟す。種子の周りには粘液があり、ヤドリギと同じく、小鳥に食べられても、消化することのない種子とともに排出され、枝木に付着する。その後、種子は粘着して枝木で発芽し、新株を作って半寄生の生活に入る。マツグミの名はマツに寄生することが多く、赤く熟す実がグミに似ることによるという。
[分布] 日本の固有種。本種の関東地方以西、四国、九州、沖縄。
[県内分布] 奈良市、大和郡山市、斑鳩町、香芝市、天理市、宇陀市、山添村、曽爾村、十津川村。
[記事] 大和地方(奈良県域)ではマツ枯れによるアカマツの減少があり、寄生するマツグミも減少しているとされていたが、最近、新産地の確認がされ、久しく絶滅危惧種だったものが希少種に変更された。なお、マツグミは薬用植物としても知られ、葉を日干しにし、煎じて服用すれば、高血圧症に効くという。 写真はクロマツの古木に寄生してこんもりと繁るマツグミ(左)、枝いっぱいに咲くマツグミの赤い花(中)、まばらについた赤い実(右)。
写真には撮影者が反映される
どんな単純な写真においても